読書メモ:社長、クレーマーから「誠意を見せろ」と電話がきています ── 「条文ゼロ」でわかるクレーマー対策

オーディオブック読書メモ

この本は、企業やお店が直面するクレーマーへの対応について書かれたもので、法律的な話というよりは、実際にどう動くかという視点でまとめられています。著者の方は弁護士で、たくさんの「厄介なクレーム案件」に対応してきた経験があるそうで、現場のリアルな話や具体的なケースが多く載っています。

この本を手に取ったのは、最近よく耳にする「カスハラ」とか「クレーム対応」の話題について、自分がニュース以上の理解が全くなかったので、どれどれという軽いものです。クレームをつけてる場面をニュースやネットで目にすることはあっても、そのあとそれが解決したのか、そもそもクレーマーが何を求めてたのか、結局どこに落ち着いたのか、そこまで見えてこない。だから社会勉強的な興味で読み始めた、というのが正直なところです。

読んでみて、「クレーマーってこういうタイプの人たちなんだ」ということが見えてきたのももちろん大きかったんですが、それ以上に、こういうややこしい問題をどうやって整理して、個人が追い詰められないようにするか、組織としてどう関わるか、というところが学べます。

複雑で面倒な問題をどう分解して、どう対処していくか、その好材料として「クレーマー対応」というテーマをお題にする、と考えると。なぜそんなに複雑になるのかというと、そこには責任感だったり、恐怖だったり、負い目だったり、できたら大っぴらにしたくない、など心理的な要素がたくさん絡んでくるからだと思います。

こういうときって、上司の判断も揺れがちだったり、組織としての対応もブレやすかったりすると思うんですけど、この本ではそういった「揺れる部分」への向き合い方についてもちゃんと書かれていて、読んでいてスカッとした部分もあったぐらいです。

もちろん、こういう本が実務書として必要になる場面って、本当は起こらない方がいいんですけど、だからこそ、実務書として必要にならないために知っておくことが大事なんだろうなと感じました。クレーム対応って、個人の頑張りに任せちゃいけないし、どこかで線を引いて組織としてどう対応するかを決めておく必要がある。そういう意味で現場だけじゃなく、経営やマネジメントの人たちにもおすすめでございます。

『社長、クレーマーから「誠意を見せろ」と電話がきています ── 「条文ゼロ」でわかるクレーマー対策』
島田直行 (著) プレジデント社

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