読書メモ:リスキリングは経営課題~日本企業の「学びとキャリア」考~

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新しく登場したビジネス書系キーワードは、無意識に「これは大事な言葉なのか?」「知っておかないと恥ずかしいやつか?」「それとも一発屋で来月にはなかったことになってるやつか?」「実は新しくないのではないか?」と気になることは当然あって、一回ググるぐらいの崇高な尊い意識は持っている、理論上はそのはずなんですけれども、なんとなく流れていってしまうことも多いです。特に本書のテーマである「リスキリング」などは典型的な流れていってしまう組の言葉なんですね。なぜかというとうっすら英語でわかるからですね。文脈からしてスキルにリがつくから学び直し系だな、スキルだから技術系なのかな、とか早合点して終わってしまうのです。実際言葉上大きく間違っているわけでは、そりゃないんですが。キャリアアップ、生涯年収アップのためにリスキリングですよ、という自己啓発的な話かと思っていたら『リスキリングは経営課題』といわれるとあれ、自分の認識なんか間違っていたかもとぽちっとしたわけです。

とはいえ、タイトルをそのまま追うと経営者向けの本なのか、個人のキャリアにプラスになるのかというと経営書っぽいですね。感想から申し上げると私には恐ろしく響きました。もちろん経営書としてではなく私個人の啓発書として、です。前段として日本の労働者が世界一学ばないという現状が述べられるのです。確かにキャリアの途中で大学、MBAに行くのは欧米の方が多そうですが、実はそれだけではなく研修やセミナーや専門学校へのスクーリングなども含めたあらゆる学びを含んだ話でした。そうですか。そして、単に日本人の学び意識が低い、というよりは学ばなくてもなんとかなっている現状が語られるのですが、これが非常に説得力があり戦慄します。おじさん震えます。イデコもいいけど学びもね。確かにそうです。私たちの世代がDXについて頑固に拒絶し続けたら会社全体の足を引っ張ることになるのは明らかです。そんなのんびりでいい感じになっちゃっている現状を踏まえて、これからの学びに関して実例も含めたモデルが示されます。企業の取り組みももちろんそうですが、個に置き換えると自分の「学びどころ」つまり投資先を正しく判断して武装ができれば変化に振り落とされず前に進めそうです。

50代になって、手習いもなかなか厳しくなってきます。私などは特に、興味がないことを覚えるのが元々苦手で得意教科と不得意教科の落差が大きい性分でもあり、であればこそ自分が生き抜けられる変化への対応はどこだ、と見極めて学ぶ必要がありそうです。本書でいうところの「工場モデル」では私落ちこぼれてしまいますので。企業経営の課題として、社会問題を知るためにももちろんですが、個としてキャリアを考える上で読んでおくことをおすすめいたしますマジで。

『リスキリングは経営課題~日本企業の「学びとキャリア」考』
小林 祐児 (著) 光文社新書
https://www.amazon.co.jp/dp/4334046525

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