ちょっと理由があって、オードリー・タンさんがこれまで書かれた本(実際は本人の単著は少なくインタビュー本が多いんですが、それも含めて)をまとめて読んだ。彼女が、名前を聞けば「ああ、あの人」というぐらいにまで知名度が上がったのはコロナの水際対策とかマスクアプリを即座に作った、などの施策が連日報道番組で採り上げられたことが大きかったと思う。実際あの頃はみんなまっすぐ家に帰っていたわけだしテレビをつけてもコロナ一色で、視聴率高かったんではなかろうか。それは一気に有名になるだろうな。
中学校を中退したとか自学したとか14歳で起業したとか各国に拠点を移して仕事をしたとか、キャリアは今でも十分に最先端に尖っているが、世代的な横串で考えたら彼女と同世代でこのようなキャリアをたどっている人はたぐいまれでしょう。ノマドはクラウド化がなしえたワークスタイルという面もあるだろうが、そんな言葉がなかった時からインターネットの強いところ、できるところを見極めた考え方と行動をしていて、スタンスが全くぶれていない。テクノロジーの進化によってできることと自分が関われることにここまではっきりとアクションできる人っていないですよね。それが、これからくるビジネスチャンスとしての閃き、とか先を見越した投資戦略ではなくてもっと大局的に、マクロな視野で俯瞰できる。そしてやるべきこと、手段については体制づくりから実行まで電光石火で遂行する。10年前の政治家が見たら魔術師に見えるだろうな。
ソーシャルなインフラを使う。インクルーシブに考える。フラットに動く。今読んでもまだまだ先進的で未来的な示唆に満ちているが、generative aiなどについて彼女がどういうスタンス、どのような存在として捉えているかとかについても聞きたいなあ。そのような機会があったらいいですねえ。

「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」 オードリー・タン 著 プレジデント書籍編集チーム (編集)
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