読書メモ:すべては「好き嫌い」から始まる 仕事を自由にする思考法

オーディオブック読書メモ

楠木さんの「好き嫌い」シリーズ、読んだことがあったと思い込んでいたのですが、今回通して読んでみると、初めてだったような気がしています。完全なるアンラーニングかもしれませんが。

楠木さんの書籍は、学術的なものは置いておいて、基本的にすべて「好き嫌い」をはっきりと書かれていると思われるので、読んでいてとても気持ちが良いのですが、本書では構成自体が「好き」と「嫌い」の2軸にしっかりと分けて説明されているため、特に明快でした。好きな理由・嫌いな理由が丁寧に語られていて、「自己紹介の1冊」ともいえる内容です。

私は、他人の価値観についてはどう考えようとその人の自由だし、あれこれ口を出すようなことではないと思っています。ただ、自分に関してはできるだけ好き嫌いの間でいたい、つまり良かれ、するべきの世界にはできたら踏み込みたくはない。

私自身、毎日少しずつ「やることを増やそう運動」の一環として、noteで「くせとかこのみとかかたよりとか」というマガジンを書いています。これは、自分の好き嫌いや価値観、やりたいことなどを、誰に向けるでもなくただ言語化しているものです。ほぼ独り言で、自分でもみないようにしています。

情報収集や調べ物をする際に「好き嫌い」が入りすぎてしまうと、いわゆるフィルターバブルに陥ってしまい、偏った世界の中でしか情報が取れなくなるというリスクもあると思います。けれど、自分の行動や、余白の時間に何をするかといった選択においては、やはり好き嫌い──特に「嫌いなことを避ける」姿勢があってもいいのではと思います。

楠木さんも、自分の好き嫌いをここまで明確に、しかも出版という形で発表されているわけですから。仮に楠木さんに仕事を依頼する立場になったとして、彼が「嫌い」と明言していることをわざわざお願いする人はいないでしょう。そういう意味でも、「好き嫌いを宣言しておく」というのは、お互いに気持ちよく仕事をするための方法として有効だと思います。

とはいえ、「好き嫌いじゃ済まされない、やらなきゃいけないこと」も当然あります。たとえば確定申告やマイナンバーカードの更新、相続の手続きなど──思い浮かぶのは、お役所関連のことばかりなのですが、これは私が極端にそういった手続きを苦手に感じているからかもしれません。運転免許の更新も結局切れてしまったし(返納ではなく)。でも、これらを避けてしまうと自分にとって不利益になってしまうので、やむを得ず、極力ストレスを減らしながらこなすしかないのだと思います。

楠木さんは、もともとミュージシャンやアーティストになりたかったけれども、その才能がないと判断し、学者という職業を選ばれたそうです。その理由は、学者もミュージシャンと同じく「個人商店」であり、自分に合っているから。組織的なしがらみをできるだけ避けて、あくまで“ソロミュージシャン”のように活動されている──まさに、「嫌いなことを避ける」ことを実践されている方だと思います。

嫌いなピーマンを残す、というような単純な行動は誰でもできますし、財力さえあれば好きなケーキを大人買いすることも簡単です。でも、SNSに日々投稿されているような、職場での恨みつらみや体調を崩すほどのストレスは、「嫌いなことをやらなきゃいけない」「嫌いな環境でも全うしなければいけない」「嫌いな人とコミュニケーションを取らなければいけない」ことから来ているのだと思います。

もちろん、すべてを避けることはできないけれど、「宣言」しておくことで、自分の「嫌い度合い」を30%くらいまでに抑えるようなコントロールはできるのではないかと思います。そうすることで、少しでも生きやすくなるのではないでしょうか。

私も嫌いなこと、苦手なことはたくさんあるけれど、大きなストレスを感じずに(感じろよ!と思われていると思います)済んでいるのは、なんだかんだで顔に出てしまうことで、周囲も察してくれているのかもしれません。また、「めっちゃ嫌い!苦手!」とネタにして発散している部分もある気がします。

自分でコントロールできることに関して言えば、たとえば甘いものが好きだからといって、そればかり食べていたら体調を崩してしまうように、「好き嫌い100%」ではなく、どこかで調整する必要がありますよね。そう考えると、「コントロールできる領域において、好き嫌いを認識しながら調整すること」はやはり大切なんだと思います。

──これを結論にしてしまうと、ちょっとつまらない気もしますが、感想としてはこのまま締めたいと思います。

本書はaudible版で聴きました。

『すべては「好き嫌い」から始まる 仕事を自由にする思考法』
楠木 建 (著) 文藝春秋

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