読書メモ:ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain

オーディオブック読書

大ヒットのベストセラーとなった『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を私は読んだのでしょうか。多分、読んでいない。オーディオブックになっていなかったから、というのが主要な理由です。でも、買ったような記憶はあるのです。我が家のどこかに置いてあった気もするのです。内容もうっすら覚えているような気がするのですが、それは「あさイチ」でロングインタビューも交えた特集を見て、分かったふうな感じになっているだけのような気もします。テレビでも何回か見たしレビューも目に入りますのでその辺りが真相なのでしょう。

というわけでおそらくはじめてブレイディ みかこさんの本を読んだわけですが、面白いですねえ。30年近く英国に住んでいるからこそであろう重みがあります。少し滞在した、とか大好きで毎年行っている、というのとはやはりわけが違う地に足ついた英国像が、連載ならではワンテーマずつ採り上げられて、いち生活者としての視点と、外国人としての気づき、日本との比較などが語られています。テーマは時事的な話題ですが、連載期間は特にビッグな話題が盛りだくさんで、政治的なものではブレグジットやコロナ対応、英国王室の色々、などそれぞれのテーマだけでも連載レポートができるのではないかと思うぐらいのおおごとでした。その他生活面ではやはりコロナ関係で買い占めの話であったりパブ文化の変化、であったりそれにも関連するのか英国音楽の衰退の話とか、貧困の話、ケータイ絵文字文化普及の話とか。ニュースとして採り上げられないような現地に住んでいる人ならではの地に足ついた視点から、ジャーナリズムとエッセイの間ぐらいの温度で、軽快にユーモア交えて料理されていき、痛快でぐんぐん引き込まれます。熱量こもっている時のスピード感と切れ味は快感ですね。活字で読んでもそうなのかなあ。

紋切り型の国民性知識、例えば保守的であるとか階級意識が強いとか、はたまた少しぐらいの雨では傘を持っていても差さない、みたいな断片的な「ケンミンショー」的な印象と、ハイティーンから20代までは特に聴いていた英国ロックの知識と、30年以上前にお勉強した世界史しかない私でしたが、「今」のこの状況がどのような流れの中であるのか、などを温度感を持って感じ取れ、これはずっと続いてほしいなあと思った次第です。

『ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain』
ブレイディ みかこ (著) 講談社

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