読書メモ:M-1はじめました。

オーディオブック読書

「漫才ブーム」と呼ばれる期間は、私が小学校低学年だったころのようです。確かにテレビをつけると漫才コンビがトリオが入れ替わり立ち替わり登場する番組がたくさんあったような記憶があります。歌番組の新曲のように、漫才師はどの番組でも十八番のネタをやっていたような気がするのですが。子供の頃のいい加減な記憶なのですが、私は「地下鉄漫才」の素朴で不思議な感じが好きだったのですが毎週のように同じネタを見ていたように思えるんですよね。そんなはずはないか。。誰がチャンネル回していたのかの記憶もあまりありませんが、落語も、手品も、江戸家猫八さんのような動物の真似も、切り絵も、染之助・染太郎さんのような芸も、ぼーっと楽しく見ていました。

それから「ドリフ」とか「ひょうきん族」みたいなコントや、ギャグストーリーみたいな番組の方が刺激的で面白い、となって、次の世代の「みなさんのおかげです」には痛快さも加わり、その完成系みたいな豪華番組「ごっつええ感じ」につながっていったような。当時中高生だった私には面白くてかっこよくて、パンクな匂いもしたりして狂喜していました。両番組が終わってから代わりの何かがあったのかあまり記憶にありませんが、ネタ番組とかはあったのでしょう。あ、エンタの神様とかですかね。コラム的な番組構成から、コンビやピンのネタに目先が戻ってきて、その流れでM-1が生まれたのかな、と思っていました。そしたら全然違ってました。危機感から始まっていたのですね。

初期のM-1は、今から思うとよくも悪くも緊張感がある番組だったと思います。ハレの大舞台にコチコチになっている出場者、大御所審査員のケアをする司会者、自分の得点が開示される審査員、そして生放送のピリピリ感、そして今年は誰が勝つんだろうというドキドキ感。当時そこまでのめり込んで見ていたわけではありませんが、確かにK-1グランプリを見るときのような、「観戦する」スタンスで見守っていたように思います。そしてそのヒリヒリとした本番当日も迎えるまで、いち吉本の社員がM-1というソフトを生み出すところからのストーリーを描いたのが本書です。

M-1は吉本の大会だから、とよくいわれていた頃がありました。

『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』
この本は割と最近出版されたものですが、吉本有利とか関西有利とかは最初から声は上がっていて、それは抱えている漫才師の圧倒的な数とか、タレント事務所としての影響力の強さのことだと解釈していたのですが、吉本興業が企画し運営しているイベントだったということは本書を読むまで知りませんでした。私だけですかね?漫才というジャンルの停滞をどうにかしろ、と白羽の矢がたった著者のサラリーマン的な板挟みやら、芸人たちとのエピソードや、スポンサー獲得に奔走する生々しい駆け引きが語られます。これ書いちゃって大丈夫なんですかね、という話もありましたが大丈夫なんですね。

読み終わってちょっと自信がなくなってきたんですが、私M-1、1回目から見てたっけな?でもサラリーマン、ささやかながらイベント運営経験者としては1回目を今見たらお腹痛くなりそうです。

M-1はじめました。
谷 良一 (著) 東洋経済新報社

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