読書メモ:ハンチバック

オーディオブック読書

普段文芸作品をほぼ読まないので、芥川賞、直木賞は受賞発表のニュースは見るものの、著者の作品を読んだことがまずないので過去作品を追うでもなく、ふ〜んそうかと流してしまって、受賞作品を読むことはまずないなあ、という感じです。いつが最後だったろうか。今回も受賞の会見を見て、なんとなく検索したら驚くことに芥川賞受賞作『ハンチバック』のオーディオ版があったのですよ。これはすごいことだと、早速聴いてみた。

冒頭、いきなりはじまったコタツ記事(この言葉も知らなかった)の朗読から始まり、Rな内容が声で入ってくることにも面食らったが、いつの間にか環境・設定の描写や、ストーリーとも論文ともつかない心の声とかに戸惑いながら引き込まれた。そして、どうなるんだというストーリー的な読みもままならぬまま、ひきづられるだけ引きづられて、急に手を離され、終わった。この唐突感は理由があって、オーディオブックはフィジカルな「あと残り数ページ感」みたいなものがないので、うわー終わっちゃう終わっちゃうという紙であれば当たり前にわかる感覚がないのである。もちろんあと何分、というのは見ればわかるのだけれど、そこはお散歩しながら聴いているわけでちょいちょい見たりはしない。それだけに、うわ終わった、何?え?そんな流れだった?と狼狽した。終わるための心構えができていなかったのである。そんな感じだったっけ?と少し巻き戻して聴き返すもやはり終了のための集中力が足りておらず、未消化感が残ってしまった。

というわけで、聴き返すのではなく、次は紙で読んでみようと思います。人と感想を話しあいたくなることは間違いない作品ですが、人が誰でもいいわけじゃないタイプの本でもあったり、じゃあ人の感想は知りたいけど自分の感想言えるか?というと、「急に終わって驚いた」以外はなんというか、まとまらない。文学性という怪物なのか、思い込みなのか、そういうギミックなのか、いずれにしても、爪痕はヒリヒリと残った。

ひとつ、体に重い障害を持つ主人公は、作中で、大学のレポートを出すために大きくて重い学術書を読むのが苦痛だと繰り返し訴えている。そして電子書籍を愛用している。そういう意味では電子版、オーディオ版とアクセスの選択肢を当初から用意しているのはいいですね。そうでなかったら私も触れなかったわけですし。

『ハンチバック』
市川 沙央 (著), くわばら あきら (ナレーション) 文藝春秋

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