読書メモ:33地域の暮らしと文化が丸わかり! 中国大陸大全

オーディオブック読書メモ

仕事の出張ではありますが、これまで6回ほど中国には訪問した経験があります。約一週間、基本商談とご飯で予定をびっしりと埋めて臨みます。北京郊外の展示場で開催される商談会に一日中張りついてアポイントをこなして、夜は取引先との会食、という毎日です。タクシーで移動する時に街の風景を見てはビルでか!車多い!人多い!など目にするもの全てにいちいち驚きます。特に天安門は写真で見るのと視覚情報的には同じものではあるのですが、そびえたつ存在感や、近づくほど物々しくなる警備、そして私たちと同じようにほ〜、と見上げる観光客のリアクションなど全ても含めて「ここがそうなんだ」という威厳を感じます。そして漫画『キングダム』でも激戦が繰り広げられた「門を攻める攻防」のまさに最終関門なんだな、こんなもの突破するミッションありえないなあ、と口を開け見上げました。北京にようこそ、ということで北京ダックに代表される北京料理をいただきます。そして白酒で乾杯。飲み干すとどうぞどうぞとエンドレスに続きます。我々が知らない、というか見たことのない食材が食べたことのない調理法で続々と出てきます。そしてはじめての味覚を体験します。最初に訪問した時などは規模も食べ物も人々の習慣もルールも、さらに携帯アプリの進み方も、とにかく目にするもの全てにいちいち驚き、正直仕事どころではありませんでした。あ、いや、仕事でも同じく驚き通しでございました。

という強烈なカルチャーショックを受けたわけですが、何度か訪問すると慣れてきて勝手がわかってきます。地方の出身の方と話をしたり、北京以外の地域の料理をいただいたりすると、ようやく勝手がわかってきたと思われた中国の、一つの点である北京のしかも都市部しか見ていないんだということに気付かされます。中国ではねーってひとくくりにできるほどコンパクトではありません。上海もあり、チベットの方もあり、タイとの国境の方まであります。逆に有名なところ以外の場所は地図でも、ぼんやりとどことどこの間?、ぐらいしか感覚がありません。「食は広州にあり」というキャッチ(邱永漢さんが作ったわけではないですよね?)といってもどの辺だったか、なんで広州が食で有名なのか、それとも単なる宣伝文句なのか、正直なところ何も知らないのです。福建省の烏龍茶とか、深圳はITのスタートアップが、とか。言葉の組み合わせで認識しているだけです。知識というにはあまりにも貧弱です。

本書は四川出身のYoutuberであるヤンチャンさんが中国のそれぞれのエリアの歴史や地理的特徴、住んでいる人たちの気質、そして名物や史跡など、いわゆる観光ガイドには載っていない「空気感」情報も盛り込んだ一冊です。ケンミンショーではないけれど、ご当地ではこれが当たり前みたいな話がたくさんで、面白いです。「クセが強い」エリアなど秘境感にワクワクします。もちろん全てをきっちり網羅して取材して書かれた本ではないとありますし、一次情報と「聞くところによると」が混じっているのでしょうが、どちらにしても白書的な数値ではなく特徴の話なのでこれぐらいライトにまとまっているのは嬉しいです。知ったかぶりするのにちょうどいいですね(笑)コミュニケーションのネタになります。シンプルな情報でも「知ってくれてる」と喜ばれるものなんですよね。結構写真が入っているのですが私は我慢して耳だけで聴いて、聴き終わってから見ました。地図を眺めながら聴いてもいいかもしれませんね。これみると北京以外も行きたくなりますねえ。

著:ヤンチャン
¥1,485 (2025/05/11 07:11時点 | Amazon調べ)

『33地域の暮らしと文化が丸わかり! 中国大陸大全』ヤンチャン 著 KADOKAWA

コメント

タイトルとURLをコピーしました