お金の自己啓発本は数々のベストセラーがありまして、お金が大好きな私もずいぶんお金をかけて読んできました。本田健さんの本あたりから始まる、読みやすいお金とのつきあい方について書かれたようなものです。マインド系自己啓発系のもの、先生が教えるという講義・会話形式のもの、タレントさんが書いたものと色々ありますね。色々あるので迷うところですが、私が経験的に結論づけますと、「売れた本を読め」ということですね。ベストセラーになった本はどれも面白いです。含蓄も深みもへったくれもありませんが、常に新刊が出続けるレッドオーシャンな状態のなかで頭角をあらわすのは「何かある」わけです。有名タレントを名前だけお借りしているような仕立てのものもあるかもしれませんけど、ベストセラーで一定期間売れ続けているものは内容に「何か」があるのに間違いないでしょう。
本書はとっても売れています。ランキングにもガッツリ入っているのは認識しておりました。タイトルからは利殖のにおいは感じません。というわけで売れているのはなぜだろう?という興味でぽちっとしてみました。
ライトなお金本の前置きによくあるのが「お金について考えるのは悪いことではない」という言葉です。日本は江戸時代には、武士道の影響もあり、金銭的な欲望を表に出すことは好まれない風潮がありましたが、人生を考える上でお金について考える、豊かに暮らすために考えることは悪いことではないのです。というメンタルブロック外しの呪文が唱えられるものなのです。しかしですね、本書はもっとラディカルです。内容紹介にもありますのでそのまま貼りつけますと、
ーーお金自体には価値がない。
ーーお金で解決できる問題はない。
ーーみんなでお金を貯めても意味がない。
と、ストーリーの冒頭に掲げられるのですが、お金の啓発書としては斬新な、しっかりと違和感をうえつけるところから引きつけてきます。最初は、とっぴな設定でいきなり始まったなと思ったのですが、先ほどの3つの真理を、深みをもって理解しておくための前段だったことがわかります。お金の知識こそゼミ形式で会話中心に繰り広げられていますが、言葉の字面以上に説得力を持たせるストーリー仕立ての「意味」は読後にこれはやられました感と合わせ伝わりました。若者向けのお金の啓発本ではありますが、私のようなおじさん世代もじんわりときますよ。

きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」
田内 学 (著) 東洋経済新報社
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