読書メモ:ユーザーファースト 穐田誉輝とくふうカンパニー  食べログ、クックパッドを育てた男

オーディオブック読書

スタートアップの本は再現性があるかどうかは度外視として、元気が出る、自己啓発書として優れているものが多く、大好物なのです。必ず、ストーリーになっているというところも「入りこめる」部分だと思います。起業家の強い思いや熱意なしで、結果書籍化されるような企業の成長や発展をすることはほぼないわけでして、逆にその思いや熱意が企業の成長時に裏目に出るような失敗もあったり、あるいは成功途上で悪魔の囁きや悪い大人が出てきたり、大切な人との別れがあったりして、最短でさしたる問題もなくスイスイと大成功する、ということもあまりなく、ドラマティックなことも読ませる部分です。逆にいうとそのような模範的ベンチャーのストーリーは単行本の企画として成り立たないという裏の事情もあるかも知れませんが。とにかく国内企業であっても、海外の翻訳本であっても、ものすごく雑にいって「売れているスタートアップ本にハズレなし」、というのが私の結論です。浅すぎますね、いわなかった方がいいかもしれません。

そういう意味では、これほどおいしい本はないのではないかと思うぐらいの要素が詰まった書籍でございます。なぜかといいますと、本当の0→1ではないものもありますが、価格コム、食べログ、クックパッドといった誰でも知っているようなサービスに黎明期から関わってここまでメジャーに育て上げたそのストーリーが一冊にまとめられており、その一貫したユーザーに対しての思いがサービスにも事業展開にも反映されている、そう信じるようになったきっかけから紐解かれているのです。ここに関しては野地秩嘉さんの幅広く、丁寧な取材の賜物でしょう。読ませます。卵を割ったら黄身が3つ出てきたぐらいのうれしさといえるでしょう。今日はどうもたとえの質が絶不調ですね。

というわけで、書かれている内容についてはもう書誌情報を見ればわかると思いますが、スタートアップの自己啓発的な効能についても、経営書としてもマーケティングについても学べる「種にはすべての栄養が詰まっている」的な意味でビジネスの完全食とでもいえる一冊でした。実業界でも、市場方面でも、また美術コレクターとしても有名な著者穐田誉輝さんですが、あまりお顔も発言もメディアに出されてこなかったこともあり、人物像としては全くイメージがなかったのも事実です。私だけでしょうか。オーディオブックを聴いていてもなんだかちょっと違和感をどこかに感じでいたのですが理由がわからない。途中で気がついたのですが、私「あきた」ではなく「かめだ」さんと頭で読んでいて、あれ、本当にこの人だったっけかなと混乱していたのでした。おそらく単行本で読んだら「かめだ」さんのまま読了していたことと思います。オーディオブックでよかったです。ゆるく書いていますが本当におすすめです。

ユーザーファースト  穐田誉輝とくふうカンパニー  食べログ、クックパッドを育てた男
野地秩嘉 (著) プレジデント社

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