読書メモ:多様性の科学

オーディオブック読書
これがダイバーシティのチームです

ダイバーシティという言葉はしばらく前から使われていたし、主にニュースだと思うが、なんとなくどういう文脈で使われているかを自分に染み込ませていって自分なりの理解をした感じで今に至っている。正確な定義や経緯などはよく知らないけれど。いってみれば外部の言葉、お客様の言葉、というか自分ごとの発言で使う言葉ではないので世の中的なことを「ああ、ダイバーシティ的なところもあるんだろうね」「大きい組織だとそういう力学になるのかもね」とか曖昧な理解の中で「こんな感じで間違っていませんよね」とふんわりと使って確かめていた新しい言葉、という感じです。

私の理解はどちらかというとマイノリティへの差別を是正するとか、多様性をありのままに認める、というような人権よりのアプローチに偏っていたみたいだ。本書が訴えるのは企業をはじめ、あらゆる組織が成果を上げて、持続するために多様性の必要性を説いている。多様性があったからこそこうなったという理論の前に、多様性がなかったからこんな悲劇が起きてしまったという事例で9・11「アメリカ同時多発テロ事件」を食い止められなかった当時のCIAの組織について、数々の証言と共に詳細に語られていたり。エベレスト大量遭難事件についても。ルポルタージュとしてヒリヒリ読み進めて、ひとくだり終わって考察に移り、そうだノンフィクションを読んでいたのではなかったんだと我にかえるほど。この筆力が理論の説得力になるんだろうな。というか質の高いノンフィクションから放たれた警告、でいいのかもしれない。

もう一つ面白いというかトリッキーなんだけどなるほど、と思ったのはなぜ特定のダイエットが流行っては消え、決定版の答えがでないのか、に関する考察である。もちろん、「ばっかり食べ」みたいなものが淘汰されるのはわかるが、それにしたって今の時代におかしくない?とは思いますよね。まあ、その答えがなんであるかというのは置いておいて、多様性を語るための例としてこの研究を使う、というアイデアに一本取られたというか、とても痛快に読みました。

『多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織』
マシュー・サイド (著) ディスカヴァー・トゥエンティワン

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