読書メモ:普通という異常 健常発達という病: (講談社現代新書)

オーディオブック読書

健常発達っていうんだ。いわゆる「普通の人」だ。「普通という異常」というトリッキーな、ちょっと哲学的なタイトルは大好物であるからして、ライブラリに入れました。果たして、なるほど考えさせられる、知らなかった情報ばかりで刺激を得ました。普段使わない言葉が多い本、例えば本書は医学用語が入っているのでオーディオブックでの吸収率はちょっと落ちるかもしれない。

グレーゾーンという言葉がありますが、これは何にでも当てはまる話であって、例えば私はメタボ診断でちょっと意識的な腹の微調整をしていなければおそらく検査結果で引っかかるのである。複数の意味でグレーである。高血圧だって血糖値だって学校の成績だって会社の業績だって境目はある。それは、はっきりした数字の区分けに照らした結果、それだけの話である。ではハラスメントのグレーゾーン、というか黒白はどうだろうか。今のご時世、いろんなハラスメントがあるが、血糖値のような厳密なスコア化はできないんじゃなかろうか。それは、主体と客体の双方が関わる話であること、そしてその関係に時間軸があることでえらく複雑になる。上下関係でもフラットな関係でもはい、関係という話になるとややこしいものですね。

中庸であることを尊ぶ、というか自分が「普通」であることに忖度をするのは、特に日本では強いのかもしれないですね。その時の「普通」や「常識」という言葉は単純に「多数派」というニュアンスで使われていることが多いんじゃないかと思いますが、マジョリティを盾にすることに病理性が出てしまうのでしょうかね。さらに匿名だとなおさらのことで。あるいはマジョリティが力だとみなしてしまう、同調圧力を醸す社会、環境が病理を生成するマシンになっているといえばいいのかな。例によって本の感想とはちょっとずれてしまってますが、本を聞きながらどこか脳の違うところで関連した別のことを考えることも無意識にあって、そっちの記憶しか残っていなかったり、それが本の内容だとすり替わってしまったりいい加減なものです。まあ、それも読み方ってことで。。

普通という異常 健常発達という病: (講談社現代新書) 兼本 浩祐 (著)

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