読書メモ:店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる 倉本長治の商人学 単行本

オーディオブック読書

ビジネスブックマラソンで紹介されていて読もうと思いつつ結局誰が書いた本だったんだっけとそのままになっていたのでした。オーディオブック化していたのを発見して早速読んでみました。

2020年に商業界が破産してなくなってしまったというニュースには驚きましたが、1948年に創業した老舗の雑誌で、ということは戦後すぐの創刊ということですよね。闇市などがまだあったころなのでしょうか。戦後の復興のため日本の商売に役立つ情報を発信するということで創刊されたとのことで、本書はその創刊編集長である倉本長治さんの商売に対する思いや理念を、2007年から同誌の編集長をつとめた笹井清範さんがまとめた一冊です。

まずはタイトルですね。「店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる」とは倉本長治氏の言葉で、「ユニクロ」の柳井正さんが座右の銘として広めたものです。本書の序文も柳生さんが書かれています。座右の銘として、言葉だけではなく商売をするものとしての倉本氏への畏敬と、その理念への深い共感が述べられています。

まだダイエーもユニクロもセブンもなかった頃の話です。全国津々浦々にチェーン展開する世の中に差しかかる時代です。何もかも前例がない中で商売にとって大切なことを経営者たちに取材や講演で説く倉本氏の存在は、専門誌の編集長というジャーナリズムを超え、ご意見番にとどまらず、また財界の立場から、でもなく業界の礎かつ灯台のような存在だったのでしょうか。今でいうと誰、というのは浮かびませんね。日本の小売流通の顔でもある柳井正さんがお師匠みたいに尊敬する人物の評伝、といえば通りはいいですね。

大型ショッピングモールのような形態や、インターネット上のお店、などがなかった頃の話ですが、ことの本質を捉えている内容なので置き換えて考えることができますね。面白かったです。

余談なのですが、この目次の文字数がぴったりあっているのはなんなのでしょう。縦に読むと何かのメッセージが出るのかと思いましたがそうではないようですが。

第一章 損得より先きに善悪を考えよう
第二章 創意を尊びつつ良い事は真似ろ
第三章 お客に有利な商いを毎日続けよ
第四章 愛と真実で適正利潤を確保せよ
第五章 欠損は社会の為にも不善と悟れ
第六章 お互いに知恵と力を合せて働け
第七章 店の発展を社会の幸福と信ぜよ
第八章 公正で公平な社会的活動を行え
第九章 文化のために経営を合理化せよ
第十章 正しく生きる商人に誇りを持て

目次より

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店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる 倉本長治の商人学

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