読書メモ:寝る脳は風邪をひかない

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脳科学のエッセイは好きなジャンルなのに、そういえば『脳には妙なクセがある』は読んだことがなかったし、池谷裕二さんの本も読んだことがなかったのでした。本書は週刊エコノミストに連載されていた同氏の連載をまとめたもの、ということで短いトピックス集のような感じでどこからでも読めます。オーディオにあっていますね。脳科学本で、専門的な話になってくると音声からだと漢字変換ができなかったり数字が多いと頭に入ってこなかったりということがあるのですが、経済誌である週刊エコノミストの連載なら、そこまで専門的な領域には踏み込まないだろうからです。これぐらいが、ちょうどいいです。最新の脳科学関連の論文や話題になっていること、また逆に世の中で話題になっている事件や出来事を脳科学の知見を使って解説するものもあります。逆に雑誌連載ということによる文字数の制限で、じっくり深く踏み込めないというところもありますね。

というような本でございますので、全体的な感想を書きにくいのですけど、示唆に富む使い勝手のいい「ファクト」もたくさんありました。脳のある部分を調べることで、その人の政治へのポリシーが大体わかる、とか、記憶力が加齢とともに衰えるというのは気のせい、とかはうんちく的に取り出すのも良さそうです。認知症に処方される薬の中には認知症ではない人にも効果をもたらすものがあるということで、脳を活性させる目的で入試などの試験に際して「ドーピング」的に使われることがあるとの話には驚きました。なるほど、でも確かにドーピングだわ。。生成AIやスマホを使った「カンニング」よりは生身に働きかけるだけ穏便だともいえるかもしれませんが、フェアではありませんねえ。これは悪用といえる事例だと思いますが、たとえば一つの発明に対して、発明した人の思いや目的以外にどのような使い道があるだろうと考えるクセをつけるのはいいかもしれないですね。生成AIも、そのようなアプローチで自発的に考えることはできないでしょうしね。

『寝る脳は風邪をひかない』
池谷 裕二 (著) 扶桑社

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