読書メモ:なぜ科学者は平気でウソをつくのか (フォレスト2545新書)

オーディオブック読書

私は以前から、教養・ワンテーマを知るということで新書とオーディオブックは相性がいいと感じていまして、いつも新着情報をざーっと見てぽちぽちするときに、自然と新書を選んでいることが多いのです。積極的にこれを調べるという目的の時ではなく、ウィンドウショッピングをしているとなんとなくカゴに入れている、そんな感じです。本書は教養というよりゴシップ的な部分もあるのかな、というタイトルではありますが、門外漢も読める科学読み物なのだろうということでぽちっとしたものです。

本書は国内外の、世間を騒がせた科学の捏造事件を取り上げています。日本では「神の手」と「STAP細胞」がエントリー。研究者のプロフィールやキャリアと、そしてどのような経緯で「やってしまったか」どう広がり、どうばれて、どのような末路を遂げたかがノンフィクションとして綴られています。共通するのは、どれも科学者らしく緻密に周到に、ばれないように工作したわけではあまりなくですね、素人でもおや?と思うほど安直な偽装であることが多いことです。そもそもが密室で行われていたり、地位も名誉もある人は疑われることがなかったりという点も指摘されていますが、それにしても本当に?と不思議に思えるほど稚拙に見えるケースが続出です。

サプライズ論文を発表するという栄誉、得られる予算や報酬、そしてキャリア。どこかで理想への架け橋がスキップしてしまったのか、希望と現実の境界線が曖昧になってしまったのか。そして、多くのケースでは、その時が初めてではなく「クセになっていた」状態で、社会に大きいインパクトを与えた発表で目立ってバレたストーリーでした。著者は免疫力に例えて、捏造事件はこれからもなくなることはないだろうが、一方で捏造をそれとわかり指摘する機能も研究者またそのグループは備え持っているとときます。専門のメディアも含めて、そのような責任と役割もあるわけですね。紹介されているケースは昔のもの、比較的最近のものもありますが、その時代背景の中で、当時これを競って研究されていた、という熱量も含め面白く読めます。もちろん科学の知識も解説され専門的な読み物としても成立しています。極めつけは下世話にもその事件に影響力な度で星をつけるというひと手間にも笑ってしまいました。

なぜ科学者は平気でウソをつくのか (フォレスト2545新書) 
小谷 太郎 (著) フォレスト出版

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