読書メモ:「暗記する」戦略思考 「唱えるだけで」深く、面白い「解」を作り出す破壊的なコンサル思考

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コンサルタントとしてコンサルティング会社で働く方は、一般的なイメージとしてはいい大学を出て就職するか、一流企業、大企業、MBAを経由して参入するか、そういう流れでなるという印象があります。実情は知りません。新卒でコンサルに入社しがむしゃら過ぎに仕事をこなして覚えていった本を以前ご紹介いたしましたが、優秀な方がものすごい量稽古をして場数を経験してチームのリーダーになっていくというノンフィクションのストーリーでした。


一方で現実にあるあらゆる業種のあらゆる事業の売り上げトレンドをチェックしてインプットするという気の遠くなるような作業を積み重ねて(具体的には会社四季報を毎年丸暗記するような)事業と売り上げの相関を頭に叩きこみ、その膨大な事例からコンサル案件の問題解決の術を導き出すという手法を紹介した本もありました。

どちらも強烈に猛烈な内容で、正直私のような柔弱な輩には到底務まらないだろうことだけははっきり理解ができまして、若い頃に血迷って志したりしなくてよかったなあとホッとした次第ですが、ビジネス読み物として課題解決の考え方や、しておくべき経験についてはとても興味深く読みました。

そういう意味では本書はまたひとつ、独特の立ち位置をとった一冊です。コンサルティングの仕事術的なタイトルの本は大きくふたつに分かれるのではないでしょうか。いわゆるMBAの教科書的な、理論とケースによって構築された論文のような本もありますし、課題を発見し、問題を解決するためのフレームワークを紹介・解説するような内容もあります。総論、各論それぞれあるかと思います。

本書はそのどちらでもなく、理論はすっ飛ばして、まず1行のお題をあげ、そのケースをこういう風に考えていったらいいですね、と授業のようにしゃべり言葉で紹介していきます。ケースによって様々な戦略の取り方があるのですが、これをフレームワーク的に導き出し「さあそれぞれを暗記しましょう」と繰り返すのです。「実をとること」を最優先に置き、優秀な人なら基本得意であろう「暗記するだけ」という甘いフレーズで洗脳にかけるという野心的な手法で書かれています。昔高校学参界をざわめかした逆転発想の「実況中継」のようなコロンブスの卵的展開といえるのではないかと思いました。そのような書籍企画の発想の逆を辿りながら読むのもまた楽し、でした。

「暗記する」戦略思考 「唱えるだけで」深く、面白い「解」を作り出す破壊的なコンサル思考
高松 智史 (著) かんき出版

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