読書メモ:今を生きる思想 ショーペンハウアー 欲望にまみれた世界を生き抜く

オーディオブック読書

このシリーズはなんとなくぽちっとしてしまいますね。過去にかぶれたくてもかぶれることさえできなかった哲学コンプレックスと、長さもそれほどではなく気持ちのハードルも高くないところでつい手に取ってしまいました。いくらやさしい入門書と謳われていても12時間とかの尺になると躊躇してしまいますからね。過去の哲学への挫折についてはこのエントリでかなりねちっこく書きました。

本書で取り上げられているのは名前だけは多くの人が知っている有名な哲学者ショーペンハウアーです。ショーペンハウエルで覚えていましたが今はこの読み方が多いのでしょうか。若い頃読んだことがあった、と思うのですが内容は一文字たりとも記憶にございません。かろうじて岩波文庫の薄めの本が何冊かあったぞ、という認識だけはありました。そしてキャッチコピー的に「厭世家」「実存主義」というレッテルをはりつけただけの知識という残念な状態になっております。読んだはずなんですけどねえ。多分『読書について』『幸福について』は読んだと思うんですけど、背伸びしていたのか、それとも読むことが目的で目を泳がせていただけなのか、おそらく両方なのでしょうね。つくづく、残念です。

この年になって教科書的な解説が続いてしまうともう言葉が入ってきません。特に哲学書ですとそもそも知らない言葉、専門的な言葉が混じりますので、オーディオブックで聴いていると漢字に脳内変換が追いつかなくなり内容がずーっと後ろに流れていってしまうことがあります。そのあたりは再生スピードを調節することで軽減できることもありますが、本書は1.5倍速でストレスなく聴くことができました。理解度は、まあいいじゃないですか。

生い立ちや家庭環境から始まり、いかにその人の考え方、価値観を持つに至ったかが綴られているのがこのシリーズのいいところですね。もちろん推測の域を出ないものではあるでしょうが、伝記のようにストーリーに乗ると、解説・知識としての哲学から、人生を重ねていく中で編み上げられてきた考え、というように敷居が下がります。もちろんアカデミックな研究・研鑽の上で積み上げられてきたものではありますが、距離が近くなったように感じるのです。

厭世観なんていう強い磁場を持ってカテゴライズされている方の、そんな極端な人だったのですかというとお坊ちゃんで色々みたくないものも見て、実業じゃなくてアカデミックに興味を持ちそちらに進み、厭世的なところもクローズアップされていますがなんやかんや社交的なところがないわけでもなく、西洋哲学のしがらみの中で東洋思想も吸収し。簡単にわかった気になる、とは違うと思いますが、血肉が通ったエピソードと共に理解できるこの企画はありがたいです。

『今を生きる思想 ショーペンハウアー 欲望にまみれた世界を生き抜く』
梅田 孝太 (著), アルトゥール・ショーペンハウアー (著)

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