読書メモ:栗山ノート

オーディオブック読書

プロ野球は子どもの頃こそTVで眺めていたりニュースで見たりしていたが特に特定のチームのファンになるわけでもなくペナントレースの行方もニュースで得た知識という感覚で受け止めていた。大人になるとさらにニュースも見なくなる。正確にいうと見たいニュースだけ見るようになるのでリーグ優勝とか大型トレードとか今日はドラフト、ぐらいの大きな出来事でないとニュースの見出しとしても入ってこなくなった。球団名もフルでいえないし、監督名もエースも4番もほぼ出てこない。それぐらい野球と縁がなくなっている私であるが、逆に大谷翔平はニュースにじゃんじゃん露出するので何勝したとかホームラン争いの状況がどうかその他お茶目な情報など逐一流してくれる。こと情報量だけでいったら日本のプロ野球全部<大谷翔平な感じだった。そしてその流れでWBC見るでしょ、って流れになった。

別に野球そのものが嫌いなわけではない。大舞台で活躍する選手たちを見るのは大興奮だ。見られる時間の試合は全部見た。個のプレーもレベルが上がっているんだろうな、体もすごいし力強い。でももっと印象的だったのはチームのみんなが本当に信頼しあっていて、お互いを尊重していているのが「嘘っぽくなく」感じられたことだ。処世術とかカメラの前での優等生とかではないリアルないい空気。緊張の大舞台で無理して振る舞っているわけではないように見えた。これ、本当に自分がそんな中に入ったら引きまくって逆に緊張するぐらいの意識高さだ。人選、スカウティング、そして短い期間でこんな組織を作り上げ、自らは一歩下がって選手の背中を押すような立ち位置をとった栗山監督。スポーツ解説者の印象はあったけど、解説の時の熱さとはまた違う理知的かつ情熱的な佇まいに、ああ、やはりチーム栗山だったんだなあ、そんな名監督だったんだなあと驚いた。そう、にわかにとっては初めて知ることが多すぎて忙しすぎた。

古今東西の名著・名言に学ぶという本はお勉強としてはつまらないし実践書としては現実世界との接点を見つけづらかったりする。本書がそうでないのは全て実際のエピソードや当時の悩みに紐づけてリアルに響くところでしょう。これ、活字でもういっちょ読みたくなるやつですね。

『栗山ノート』 栗山 英樹 (著) 光文社
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