読書メモ:「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法

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外交的か、内向的かって結構自己評価がブレるところだと思うんですよね。自分では内向的だけど頑張って社交的に見せているんだ、とかその逆も。ただ社会的には、内向的な人はその自己認識をコンプレックスに思っていたり、損をしていると感じたりすることは多いだろう。著者も頑張って、そう見えないように振る舞っていたとある。本書はそんな内気な人々に武器を与える一冊である。

理系と文系もそうだし、体育会系も文化系もそうだし、サディスティックかマゾヒスティックもそうだと思うけど、そしてたとえの並びがちょっと変だけど、そんなに黒白はっきりしたもんじゃなくって程度はグラデーションですよね。さらにいろんな要素の組み合わせもある。

ちなみに私は、古くは学級会とか、大人になっては会議とかの発言や、大勢の人前で話すのは抵抗、というか苦手意識があまりない。一方で知り合いになった方で「苦手だな」と一度思うと苦手意識がどんどん育ってしまいギスギスしてしまうことが多い。あと「この人はこのタイプ」と決めつけそれが信頼構築の妨げになってしまい遠回りすることも、結構あった。自分を表現したりアピールするのにコンプレックスに思ったことはなく、用意周到でも計画的でもないので内向型の方にいわせれば「お前はこっちじゃねーだろ」と追い出されそうである。でも全方位うまくやれるわけでもないし、フレンドリーなオーラも残念ながら出ていないだろう。血液型のようにはっきりは区別できませんよね。

全世界何億人いるのか、内向型の方々への応援の書、私は内向的なことのマイナスをかわして、逆に内向型ならではの武器としてこのように成功してきたというメッセージの本だ。ハウツーの部分をテクニックとして取り入れるのはいいと思うが、内向型でもタイプは様々だ。著者のように自己分析をして強みと苦手な部分を洗い出し、強みで勝負し弱みだと分かっていることはなるべく避ける。そして違う強みと弱みを持っている人と補完する。ダイバーシティの文脈でもよくいわれることだが、こと個の問題からチームや組織に話を移すとメンバーのタイプの把握と役割についてこの視点は結構重要になりそうですね。

何のきっかけかはわからないが、本書は発売後すぐにネット書店でもあっという間に上位にランクインした。静かなバズ?自分の読むべき本だ!とアンテナに引っ掛かったのでしょうね。「静かな人の」って言葉も響くのわかる。下にリンクしている台湾版タイトルの直訳だったら日本でこのようなヒットはしなかったように思えます。

で、最後にブッコミますと、本書を真っ先に読むべきは自分が内向的だと思っていない人である。特に社交型リーダーの人はマストである。だってそうでしょ、「部下のAさん今ひとつ何考えているかわかんないんだよなあ、言われたことはちゃんとやってくれるし、能力は高いと思うんだけどなあ〜なんだかなあ〜」ってその人ジル・チャンの原石みたいな人かもしれないんですよ。また、内向であることをいわゆる定性評価でマイナスとバッサリ斬るような仕組みになっている場合も危険だ。静かに、そのチームから離れてしまっても仕方がない。読んどきましょう。

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おまけ。著者のサイトとか記事とかを読んでいたらamazonでこんなのを見つけてしまった。台湾にはアマゾンは進出していないのだけれど、出版社がグローバルに販売するためにPODとkindle版を出しているということだろうか。このような形の販売を見たことがなかったので新鮮だ。今度聞いてみよう。

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