お買い物エージェントはもうええじゃんという話

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「SaaSの死」に続く「ECの死」 買い物エージェントの破壊力 - 日本経済新聞
人工知能(AI)が既存のソフト事業を揺るがす「SaaSの死」の衝撃が収まらない中、次に到来するのは「電子商取引(EC)の死」だとの見方が急速に広まっている。負け組はアマゾン・ドット・コムなど既存のECプラットフォーマーであり、勝ち組はウォル...

anthropicの新しいエージェントサービスが華々しく登場し、将来SaaSサービスが必要なくなるのではないかという憶測が広がり、米国の株価に影響を与えたというニュースが流れたのは、記憶に新しいところです。今度はお買い物エージェントの登場と普及によって小売店が復活し、ECが衰退するという議論が出てきました。

加速するアマゾン離れ、EC戦略に大きな変化…205億ドル市場に膨らむAI購買
米国でAIエージェント「Buy for Me」やPerplexity訴訟を契機に、アマゾンを経由しない購買「アマゾン飛ばし」が加速。エージェント型コマースは2026年に米国だけで205億ドル規模へ急拡大。日本でもD2C市場が3兆円に達し、E...

これまでは購入履歴が蓄積され、自分の好みをリコメンドされ何でも揃う便利なAmazonの中で欲しいものを選んでいましたが、買い物エージェントの登場によって、幅広い情報網の中から自分の欲しいものを探すという購入行動が広がっていることが数字でも示されています。この記事は私も興味深くみましたが、感じたのは恐怖でした。デス・バイ・アマゾンと言われるほど、他の小売やプラットフォームを駆逐してきたアマゾンが、まさかアマゾン飛ばしといわれるような状態になるとは。しかもこのスピード感。


別の点では、アマゾン内でお買い物を楽しむ、欲しいものを探す客のために、メーカーはアマゾン内広告を積極的に運用してきました。店の中にいる買う気のある人に広告を打つ方が、店の外から呼び込むよりも効果が高いことは明らかです。このため、メーカーはその効果を享受していました。まあ、出せ出せと煽られながら、が実情に近いかもですが。しかし、アマゾン飛ばしによって広告そのものを見られる機会が少なくなるという恐れも、この記事から感じられました。なんだかんだ自分たちでコントロールできる領域があるというのは安心感があるものです。

でもさ、そんなにゆだねるかなあとも本心では思うんですけどね。昼ごはんのチョイスをAIにゆだねるかなあ、配達員が持ってきて何を食べるか知る、とかそういう事ですよねこれって。まあいいか先にいきます。

Amazonの2025年売上高は7169億ドルで12%増、日本円換算では約108兆円に拡大。AIアシスタント「Rufus」が約120億ドル(約1.8兆円)の売上貢献
【ネッ担】Amazonによると、生成AIを活用した機能が購買行動に大きな影響を与え始めている。生成AIショッピングアシスタント「Rufus(ルーファス)」は、3億人以上の顧客が利用。年間換算で約120億ドル(日本円で約1.8兆円)の売上増に...

もちろん、Amazonも何もしていないわけではなく、Amazon内でAIアシスタント「ルーファス」によるお買い物支援を運用しています。これは広告ではなく、お客様がAmazon内のチャットを通じて、自分の買いたいものを選ぶ際のアシストを行う機能です。この記事にあるように、実際にこのルーファスの導入によって売上貢献している結果が出ています。ブラックフライデーで大活躍なんて記事もこのブログでご紹介しましたね。しかし、お客様がAmazonのサイトを訪れる数が減少し、いわばゼロクリックのような状態になってしまうと、AIアシスタントの出番も減ってしまうため、やはりこれがあるから安心というわけではなさそうです。ルーファスがAIボットを攻撃して追い出す、みたいな免疫系の仕事は、たぶんできない。いや、できない。

では、少し戻りますが、この生成AIのお買い物エージェントは、何をもってお客様の欲しいものを探し、最適な商品を割り出しているのでしょうか。これは、売れ行きが良かったり評判が良かったり、スペックがお客様の求めるものに近い情報をネット上から集めて判断しているということになります。

ランキングや書評サイト、口コミ、受賞情報などが対象になると思われます。そのメーカーのサイトには、「こんな人におすすめ」という使い方のシーンや目的に応じて、どのように便利なのかが詳細に、またAIが理解しやすいような構造で提供されていることが重要になるのではないかと思います。

これは以前にキーワードでSEO対策を行ったり、お金をかけられるときはキーワードでリスティング広告を打つというロジックが通用しなくなってから、コンテンツマーケティングにシフトした頃、あの変換期の対応に近いものがあるように思われます。Googleの検索ロジックが変わり、人気のあるサイトに価値があると評価されるようになった頃です。

メーカーの立場からAIのお買い物エージェント対策として、今後重要になるのは大きく二つあると思います。一つ目は、商品の説明をユーザーの使用目的や具体的な使用シーンに基づいて記述し、その商品がどのように悩みを解決するかを明確に示すことです。また、他の商品にはない優位性がはっきりとわかることも重要です。さらに、お買い物エージェントへの対策として、AIが理解しやすい構造的な技術が求められるのではないかと思います。この商品やサービスを利用することで、どの程度の効果が得られたか、どのように改善されたかというエビデンスを示すこともプラスになるのではないかと思います。

もう一つは口コミです。もちろん、口コミを献本によって書いてもらうという公式なサービスもAmazonなどにあるかと思います。それもそうですが、書籍でいうならば、読書会や著者のイベントなどで口コミを仕組み的に創出する施策が重要になるかもしれません。また、アンバサダー的な仕組みを作り、アンバサダーのコメントに評価がつくような形も有効であると思われます。

しかし広告を打てないということは顧客動向やカートの分析も無になるということですし、その前にクロールばかりでGA4の中身も空っぽになってしまうとネットマーケそのものがなくなってしまう、大げさにはそういう事ですよねえ、違う?どうなんでしょう教えてきのこちゃん。。

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一方で本書にもあったように、話にあわせられるように買う、見る。経験しておくという事実が大事だからネタバレOK、倍速OK。このような若者(だけではない)人が増えているのも事実で。トレンドについてはいきたい、というモチベーションを「救いがある」と思えるか、どうか。

そして新刊の、続きとなる取材と考察ではついにこんなタイトルになってしまったという現実があり。

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ニュースにお金を払う感覚がない人たち、情報ソースに関しても無頓着な人たち。そうなってくると書籍パッケージは?はい、ごく自然だと思います。

そしてそもそもの話に戻りますと、買い物エージェントを使うのはまだいいほうで、AIに相談したら本の内容までone on oneで親切に教えてくれてハイ解決。お買い物にすら向かわないという現実が既にあるわけで。消費行動までなくなっちゃったらエージェントも要らなくなっちゃうんだよ。アストロファージを食べ尽くしたらあなたも死んじゃうんだよ。頼むよ。

ああ、これは買い物エージェントじゃなくて転職エージェント案件なのかもな、いや、オチをつけたかっただけですからね!ここはひそひそ話したり社内で「見つけちゃいました」とか共有とかしないで!(だったら書かなければよい)。

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