CloudflareがAIエージェント前提のCMS「EmDash」を公開、WordPressの牙城に挑む

この記事のタイトルを見て、あれ?と思ったんです。cloudflairってそういえばAIのクロールを判別し仕分けする、みたいな動きをしているという記事がありました。そして私が今作っている音声認識ツールをブラッシュアップするために、サーバの代わりにプログラムの実行役を作りましょうときのこちゃんに勧められたのがcloudflairだったな?そういえばアカウント作ったんだった。それは偶然だけれども、どういう会社のどういうサービスなんだ、と調べてみて、ネットの関所みたいな役割だけではなくクラウド環境の主みたいな存在なんだと知った次第なのです。そうなんだクラウド環境といえばAWS、CMSといえばWPってもうそれしか知らないままでしたが、なるほど無知だと知りしろが大きいぞ。
で、CMSです。コンテンツを販売している事業者にとって、AI時代にコンテンツをどう持つか?どうすればいいか?は大事なところですよね。
「著作権者が書いたものが、巨大なAI企業の学習データとして、勝手にタダ乗りされているんじゃないか」というところにおいてはまずいぞ。でもデータはあちこちにある。立ち読みコンテンツも切り出し記事もある。
ブログや記事を書くなら「WordPress(WP)」や「note」といったプラットフォームをみんな便利に利用しています。当たり前に使っているわけですが、冒頭の記事ではAIに対して、それぞれの企業が違うスタンスを取り始めているということがいえると思います。つまり、「どこで発信するか」が、そのまま「自社の大切な知財をどう守るか」という防衛戦略に直結する時代に突入しました。単にcloudflair vs wordpress という話ではないと思うのですよ。
本日は、ネットワークの巨人である「Cloudflare」の記事を発端に紐解きながら、WordPressをこのまま使ってもいいの?であるとかnoteという場所をどう位置づけるべきか、考えていきたいと思います。
Cloudflareがもたらす「コンテンツ主権」の転換点
まず、前提からなのですが。これまで、自分のWebサイトをAIのクローラー(情報収集ロボット)から守るためには、「robots.txt」というファイルに「来ないでくださいね」と書いておくのが普通でした。でも、残念ながらマナーの悪いAI企業はこれを平気で無視します。いってみればこれは立ち入り禁止の標識を立てているだけで、いわばそれだけの状況です(あ、すいません技術的なところは詳しく知らないのですが、エンジニアの方からうかがいました)。
そこでゲームチェンジャーとして登場したのがCloudflareです。彼らは、サイトにたどり着く前の「入り口(ネットワークのエッジ)」の段階で、AIボットを物理的にシャットアウトする強力な盾を作りました。

さらに、冒頭リンクの記事の通り、Cloudflareが最近発表したCMS的な機能(WorkersやPagesを活用した仕組み)を使うと、単に弾くだけではなくなりました。
「AIの学習には絶対に使わせない」とか、「特定のAIにだけ、きちんとお金を払ってくれるならAIが読みやすいMarkdown形式で情報を渡すよ」といった細かいルールを、インフラのレベルで設定できるようになったんです。
これって、すごく大きな変化だと思いませんか?特定のプラットフォームに依存することなく、コンテンツホルダー自身が情報の出口を完全にコントロールできる。つまり、「コンテンツ主権(Content Independence)」が環境的に確立されつつある、というところまで前進したのですよ。特定のAIだけ、きちんとお金を払ってくれる、の部分については現在買い手がいるのか?って話もありますが、ゆくゆく話として、です。
WordPressユーザーはどう振る舞うべきか?
では一方で、世界中で一番使われているWordPressはどうでしょうか?
WordPressの親会社であるAutomatticは、AI企業との「共存」、そして「ライセンスビジネス」へと大きく舵を切っています。2024年の報道などでも話題になりましたが、WPやTumblr(タンブラもそうだったんかー)の公開データは、私たちが自分で「拒否」の設定をしない限り、OpenAIなどの学習データとして提供される方向へ進んでいるんです。

ちょっと古い記事ですけど基本姿勢は、AIに提供して対価を得てこれをユーザーに開発等で還元する、というスタンスとのこと。これを聞いてしまうと、WordPressユーザーは少し不安になってしまうと思います。「自分のコンテンツがAIの学習に使われても、まあいいか」という方はそのままでも大丈夫です。でも、独自のノウハウやパッケージされたまとまりのコンテンツのような「知財」をしっかり守りたい場合は、対策が必要になりますね。じゃあ、どうするか。
現実的には「ハイブリッド構成」が考えられます。執筆や編集の環境としては、今まで通り使い慣れたWordPressを使います。でも、Web上に公開する「出口」の部分だけ、Cloudflareを間に挟むんです。そうすれば、使い慣れたWPはそのままに、AIに対する門番の役割はCloudflareに任せることができます。
noteの立ち位置:クリエイターズギルド
さて、では日本国内でAIと近いプラットフォームという印象がある「note」はどう位置づけるべきでしょうか。
Cloudflareが、自分の身は自分で守る「孤高の門番」だとすれば、noteはクリエイターを守ってくれる「ギルド(組合)」のような存在だと言えます。あれ、どこかで聞いたことがある言葉だな?
コンテンツを持つ団体企業個人等が、巨大なAI企業と直接交渉するのは実質不可能です。でもnoteは、プラットフォームという巨大な面と、業界団体などとの連携を通じて、クリエイターの権利をを守り、販売の機会をつくろうという動きがあります。
「これは絶対に誰にも学習されたくない!」という門外不出のストック情報(たとえばノベルの本文そのものや、独自のアルゴリズムなど)を置くのには、少し向いていないかもしれません。それとは別にAI事業者とのコンテンツ利用のブリッジも始まっていますが、これは有料記事以外の出口戦略として、ここでは別物としておきます。
コミュニティの熱量を活かして「こんな面白いことをやっています!」と情報を拡散したり、ファンを作ったりするための「フロー情報」の発信地としては、唯一無二といえるマーケティングツールだと思います。
4. 結論:最終的には「持っているものが決める」環境へ
AI企業、プラットフォーマー、そして広義のクリエイター。この三つ巴の環境の中で、最終的に目指すべき理想の形はどのような形になるでしょうか。
「コンテンツを持っている人間が、その扱い方を決めることができる環境」が重要なポイントだと思います。まずはそこから、って感じですがそこがとにかく、遠かった。
記事を広くAIに読ませて自分の知名度を取りに行くのも正解ですし、一文字も渡さずに自社サイトの価値を高めるのも正解です。あるいは、条件付きでAI企業にデータを「販売」する道もあるでしょう。
一番危険なのは、自分がよく知らないうちに、プラットフォーマーに決定権を丸投げしてしまうことです。言い換えると、CMS選びが自社のポリシー選び、に知らずになっている可能性があるということです。これからは、門番のようなツールをうまく使いこなし、コンテンツを持っているものが「私のコンテンツはこう扱ってください」と、システム上で意思表示をしていく必要があります。
「誰のプラットフォームに乗るか」ではなく、「自分のコンテンツをどう配備するか」。 技術の進化によってコントロールができる時代が来ている、新しいルールによって情報が扱われる環境になる。まだニュースリリースからの推測ではございますが、祈りをこめてのまとめでございました。


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