『キーエンス 最強の働き方』を読んで
営業利益率が非常に高く、売上高営業利益率が50%前後ともいわれる高付加価値創出企業・キーエンス。そのトップ営業を3年連続で達成した著者による営業本です。
若者向けの営業入門書ということで本来の読者ターゲットではありませんが、自己啓発の一環として読んでみました。また、「キーエンス」という謎めいた会社を社会見学するような気持ちもありました。
トップ営業として抜群の成績を出し続けていた人物というと、超人的なスキルや特別なキャラクターを持った人を想像してしまいます。しかし、本書で語られている内容は、本人にしかできないような特殊なテクニックではありません。これも役にたつ入門書に共通するものです。「愛され」などと書いてあったのでちょっとニヤけながら入ったのですが、いやいや真面目に愛されに取り組んでいたのでした。
多くの優れた営業本で語られる基本はベースにありながら、著者自身が仮説と試行錯誤を重ね、その精度を高めてきた実践知がまとめられています。いわば「ちょい足し」のような工夫の積み重ねが、大きな成果につながっていることが伝わってきます。
特に納得したのは、見た目やプレゼン、ミーティングの場づくりに対する考え方です。テーブルの上に何を置くのか、その配置をどうするのかといった細かな点まで考え抜かれています。
それは、押しつけがましい演出ではなく、相手に余計な違和感を与えず、安心して商談や提案内容そのものに集中してもらうための工夫です。自分の個性を前面に出すのではなく、目的の達成に向けてノイズを徹底的に取り除く。その姿勢に加えて、「そこまで細かく想定して用意しているのか」と驚かされました。
社会見学のつもりで手に取った一冊でしたが、もうこんなもんでしょ、結果は変わんないでしょと雑に済ませてしまいそうなことにも真剣に向き合う姿勢に触れ、自分の背筋も自然と伸びるような一冊でした。

『キーエンス 最強の働き方 新人からベテランまで、最短で成果を最大化するシンプルなルール』
齋田 真司 (著) PHP研究所



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