『頭のいい人が話す前に考えていること』。
非常によく売れましたし、長くベストセラーに居続けている印象があります。すごい。
これは完全に私の偏見なのですが、「頭のいい人が〜」といったタイトルの本には、どこかみててドキドキするんです。動悸が高まるといいますか変な汗が出るといいますか。
私自身の中に少し歪みがあるのかもしれませんが、こうしたタイトルの本を見ると、「頭がよくなりたい人が手にとる本」ですけどあなたは買いますか?と問われているようにおもえるのです。
つまり、自分が“頭がよくない側”であることを認めて「ぶっちゃけよくなりたいっすお願いします!」と購入しているような感覚、バカ踏み絵を踏んでいるような気持ちになり、それが少し恥ずかしく感じられてしまいます。
今はネット購入や電子書籍もありますし、私はオーディオで読むわけですが、それでもこうしたタイトルの本を買うときには、一瞬とまどってしてしまうのです。
著者は当然とても頭のよい方のはずですが、「自分は頭がよい人間です」「そんなわたくしが買いた本です」と受け取られてしまうのではないか、そんなタイトル頭がいい人がOKするんだろうかと考えてしまうのです。
もちろん、実際の著者はそんな意図を前面に出しているわけではなく、むしろその点にはかなり配慮されていると思います。
それでも、「頭のよい人が書いた頭の悪い人のための」という印象はどうしても残りますし、そこには多少の葛藤もあるのではないかと想像してしまいます。頭のよい人ほど謙虚であろうとするでしょうから、なおさらです。そんな心配をする義理はないんですが、心拍数が上がってしまうですよ。
一方で本書の内容は、嫌味やそんな勘ぐりをを誘うものではなく、シンプルです。
「こうするといい」「私はこうしてみた」といった具体的な行動ベースで書かれており、真似しやすい書き方になっています。
いわゆる“頭がよくなる方法”そのものを教えますという訓示ではなく、洗練された思考や振る舞い、あるいは残念なことになることの“かわし方”のようなものが随所に感じられ、スマートです。
売れている理由にも納得です。
自分の立場をどう捉えればいいのかは正直よくわかりませんがさすがな味わいをいただける一冊でした。
『頭のいい人が話す前に考えていること』
安達 裕哉 (著) 日経BP社



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