読書メモ:PLURALITY 対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来

オーディオブック読書メモ

本書を読み終わってさぁ、感想書こうかなと思ったときに、なんというか、絶対無理というか、何かをかけるのか、全く自信がない自分がいました。まず一番大きいのは、理解できた気がしないので感想とはいえ書けることがあるだろうか、ということです。文章は、ITの難しい言葉とかはあるんですけど哲学的な難解さで意味が取れない、というわけではないのです。でもこの、「PLURALITY」という概念をしっかり捉えられたか、サブの「対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来」に対して本書が言わんとしていることを理解できたかといわれると 全くもって自信がありません。

他に、本書の執筆体勢も独特です。著者としては政治経済学者・技術思想家のグレン・ワイル氏と台湾デジタル担当政務委員(デジタル大臣)を務めたプログラマー・政治活動家のオードリー・タン氏が主要な執筆責任者として併記されています。この二人に加え、「Plurality Community」として多数の共同執筆者が参加しており、オープンな協働プロジェクトとして書き上げられました。さらに著作権を放棄し、ネット上で今後も編み上げられていくことになっていることも宣言されています。つまり本書の内容は、書籍化という一区切り、という感じでしょうか。著作権放棄についてはピンときていなかったんですが、オープンソースという表現を別のところでされていて、なるほどそういうことかとやっとわかりました。そのような斬新なプロジェクトであり、構えてしまったところもあるかもしれません。

こちらでもご紹介した『NEXUS』などもそうでしたが、IT、特にAIが急激に進化するこれからの時代に対してディストピア的な見通しを立てていました。AI が決定を下す、データに基づき人の思考・感情まで操作できるようになる。権力者の発言そのものがAIによるものになったり、民主主義・自由・主体性が根底から揺さぶられる、という恐怖を感じました。

それに対して本書は技術(特にデジタル/参加型プラットフォーム)と民主主義・市民参加・多様性を「ポジティブに組み合わせる」ことが可能、むしろその方向へ社会を働きかけるべきだというモデルを提示しています。実際に台湾の事例も多数紹介されています。ディストピアにならないようにブロックチェーンなどの技術を使って多様性を保てるようにバランスをとっていくことが可能だ、というスタンスです(このあたりの技術的なところは理解があやふやです)。

本書の救いは実践家・活動家によって編まれているというところ、そして今後もそれが続いていくという点であると思います。なんとか、ついていけたらいいなと思うのですが、どうでしょう、自信はありませんが。。

最後にちょっぴり本書に関するエピソードを。ある件で困ったことが起き、相談したらある方を紹介されました。メールで繋いでいただきお願いをしたところとても親切にお引き受けいただきました。その方が本書台湾版の編集者だったのです。AIで翻訳したメールのやり取りで心許なかったのですが、ばっちり困り事が解決されました。こんなヘロヘロな感想文で申し訳ないのですが、ここにお礼を記させていただきます。

本書はオーディブル版で読みました。

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PLURALITY 対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来
サイボウズ式ブックス オードリー・タン (著), E・グレン・ワイル (著), 山形浩生 (翻訳), Community (その他)

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