結論からいうと、私にはこの本はあまり必要なかったようです。というのも、私自身がすでに「不完全主義」実践者だからです。
おそらく著者がこの本で伝えたいのは、「100%を目指しても疲れるだけですよ。90%で満足することを許して、自分をもっと楽にしてあげましょう」というメッセージだと思います。これは、完璧主義の傾向が強く、自分を追い込みがちな人へのアドバイスなのだと思います。
でも、私は昔からそういうスタンスでした。たとえば、期末テストでは平均点くらいを確実に取れるところまで勉強できたら、それ以上は追いかけない。大学受験も、must部分はやるけれど、高望みはしない。仕事も、たぶんにそうです(書きにくいね)。
むしろ、私にとって必要なのは、「もっと仕上げろ」と背中を押してくれるような“完全主義の鉄槌”なのかもしれません。実際、私は不完全を良しとしているわけではなく、「完全を目指す効率の悪さ」が勝って不完全でいるだけです。銀行のような、きっちりした精度が求められる世界には、絶対無理です。
……なんだか話が脱線してしまいましたが、きっちり、しっかりと物事を進めて信頼を得るタイプの方が多いのも事実で、それはとてもよく分かります。そういう方にとって、本書のメッセージは「肩の力を抜いても大丈夫」と安心できるものなのではないでしょうか。ぜひ、不完全主義を実践してみていただけたらと思います。
なお、誤解のないようにいっておくと、このスタンスは別におちゃらけているわけではありません。本当にそう思っています。不完全主義であるところの私がそのポリシーを実践することによって尊敬されているかといえばそうでもないし、自分に満足しているかというと、それもまた違います。
結局のところ、価値観は全てに「完全」を目指すかなんでも「不完全」でいいのかという二元論では測れません。自分なりの基準で、自分に合ったバランスを見つけられるといいですよね。本書がそのヒントになる方も多いと思いますし、読むことで少しでも肩の力が抜けるなら、それだけで十分価値のある一冊だと思います。
本書はaudibleで読みました。
『不完全主義 限りある人生を上手に過ごす方法』
オリバー・バークマン著 高橋 璃子 訳 かんき出版


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