読書メモ:努力革命 ラクをするから成果が出る! アフターGPTの成長術

オーディオブック読書メモ

ChatGPTのような、日々進化しているITツールのことを「書籍」で学ぶことに、違和感を覚える人もいるでしょう。書籍の執筆から刊行には時間がかかるし、その間にも情報はどんどんアップデートしていく。また、書籍というパッケージはウェブの記事と違って、頻繁に更新することができません。だからこそ、SNSで最新情報をキャッチしたり、最先端を走る人の動画を見る方がふさわしいと考える人も多いのではないでしょうか。

最新情報を追いかけるという意味では、それも一つの正しい方法だと思います。ただ、本書のように、ChatGPTをはじめとする生成AIを「どのように味方にしていくか」というアプローチで考え、それを踏まえて自分なりに有効活用する方法を指南する、という本の意味は大きいと思います。

目次を見てもわかるように、本書は実務的なマニュアルではなく、あくまで相棒として生成AIとどう付き合っていくか、どう使い倒していくかについて書かれています。「使い倒している人」だからこその説得力がある考察が満載で、前提からしてしびれる内容です。

従来の価値観では「80点=合格」で十分だった場面が多くありました。例えば仕事の資料やレポート、日常業務などで、「とりあえず大きなミスがなく、平均以上にまとまっていればOK」という意識があったかもしれません。

しかし、GPTなどの生成AIの登場によって、この“80点”レベルの成果物は誰でも簡単に出せるようになりました。AIをうまく使えば、素早く「それなりに良いもの」が作れてしまう。そのため、「80点の仕事」はもはや価値が下がってきている——これが筆者の主張です。

「AIによって仕事が奪われる」「この職業がなくなる」という話はよく耳にしますが、本書で語られているのは、“仕事のある・なし”というよりも、「だれでもここまでは簡単にできる仕事」「どこのオフィスでもこうした変化が起きている」という領域ができたという、新鮮かつ事実だと感じました。

まぁ、それも「80点までみんなが使いこなせれば」という話ではあるのですが。つまり、80%の水準に達していないと、そもそもスタート地点にすら立てないということでもありますよね。これは新人教育もリスキリングもすべてひっくるめて、です。

また、仕事だけでなく、「相談相手」としての生成AIの使い方についても本書ではかなり具体的に紹介されています。その使い方がとても生々しい。あの伊藤羊一さんがあんなプロンプトをChatGPTに投げて相談しているということに、かなりのインパクトを受けました。……ちょっと日本酒が飲みたくなりました。そうなんです、技術のノウハウではなく、どういう時にどう使うか、のヒント集でもあります。

読んでいる途中も、ああ、これ試してみたい。あの時も使っていればよかったなどと頭が何度か脱線していきました。そんな一冊です。

(本書はaudiobook.jp版で聴きました)

コメント

タイトルとURLをコピーしました