今週のピックアップ
「AI企業が合法的に取得した書籍でAIをトレーニングするのに著者の許可は必要ない」という判決が下される
購入した書籍を学習させるのはフェアユース、盗品はだめよという判決です。まじかよ、なんでこれで騒がないのか?とヤキモキしましたが、学習が何を意味するかによって変わってくるかもな、その辺りは記事ではあまり踏み込んでいないですが、しっかり校正された大量のテキストデータというだけならフェアなのか。でも英語の文法書の例文で知識を得ることもあるしなあ、などと素人が考え込んでも仕方のないことに思い耽っています。
米地裁、メタAI開発に著作権侵害認めず 「公正利用」には懐疑的(日本経済新聞)
関連してこちらは原告であるところの著者側が準備?不十分だったみたいでフェアユースそのものは認められない方向の判決。しばらく綱引きになりそうです。
デジタルブックトピックス:
今週はaudibleの新サービス発表がありまして、関連ニュース多めです。
オーディオブック・ポッドキャスト・音声関係
Amazon Music Unlimited でAudibleも聴けるように(amazon Japan)
アマゾン、音楽配信会員に月1冊のオーディオブック提供(新文化オンライン)
アマゾンミュージックの有料版であるamazon music unlimited会員は、月に1冊のオーディオブックをゲットすることができるというサービスが発表されました。これは米国等では少し前に発表され始まっており、見た限りではサービスの内容も同じに見えますね。音楽業界の方々にとっては音楽が「薄まる」可能性があるのであまり面白くないニュースかもしれません。日本ではまだ予感もありませんが、スポティファイもオーディオブックに注力していますし、ポッドキャストとあわせて耳時間の争奪戦になっているということでしょうか。
聴く読書「Audible」国内サービス10周年。CEOに聞く“これまでとこれから”(AV Watch)
この10年でオーディオブックがどれだけ日本に浸透したのか、またAmazon Musicとの連携により、どれだけユーザーが広がるのか。Audibleのボブ・キャリガンCEOと、Audible ジャパン カントリーマネージャーの逢阪志麻(おうさかしま)氏に話を聞いた。
先週10周年のイベントがありましたが、囲み取材があったのかな、その前か。音楽業界はもうレーベルもアラカルトの売上がメインではなく、サブスクメインのビジネスになっていると思いますが、今出版社はサブスクメインになる前提で進んでません。同じ流れになるのならファンクラブやライブやグッズになるわけですが。見えない。
没入感がハンパない「聴く読書」の新常識──アマゾンの音楽サブスク、体験の定着を目論む戦略に迫る
音楽とオーディオブックを組み合わせる狙いと、「聴くエンタメ」の未来について、Amazon Music統括責任者のライアン・レディントン氏と、Audible CEOのボブ・キャリガン氏に、東京で話を聞いた。
今度はmusicとaudibleのトップインタビュー。内容はさておき、この記事が革命的なのは、あの縦割組織でこのような取材まで受けるなんてね。そこです。
集英社や小学館、オーディオブック音源制作に力 原盤権持ち収益拡大(日本経済新聞)
大手出版社が、これまで主に販売会社が制作していたオーディオブックを自社制作も取り入れ強化しているという話です。自社コンテンツなら出版社への戻し額も多くなるので市場拡大のトレンドの中回収もしやすくなる。また、ロングセラーになる作品も多い。そして最後にAI音声の話も。記事中の制作費に、少々驚いております。そんなにかかるんだ。
Ofcomポッドキャスト調査およびオーディオレポート2025(Audiostart News)
英国のオーディオメディアの利用統計。ポッドキャストはティーンではなくて若い大人から。これはそうですね、可処分時間がある子供は目と耳をゲームや動画に預けますよね。面白かったのは、ポッドキャストを聞かなくなった理由は「興味があるポッドキャストが見つからないから」うん、私もまさにそうなんですよね。ラジコを少々嗜むぐらいで。聞いたら好きになるのは結構あるはずなんだけど、出会うきっかけを今は閉じている感じです。
電子書籍・コミック・リーダー端末・アプリ
NetGalleyが新サイト「Booktrovert」を開設/NetGalley Launches a New Site: Booktrovert(Good E Reader)
Booktrovert.com は読者向けに、電子書籍のプレゼント、読者特典 (予約注文、特別セールなど)、楽しいゲームやアクティビティ、限定グッズ、書籍リストを整理するための独自のキュレーション ツールなどを提供
amazonでいうところのvineが、kindleやkoboと連携して実現するってことですか。かなり踏み込んだサービスですね。
出版とAI
ケンブリッジ辞書は「AIによって作成された低品質のコンテンツ」を反映して「slop」の新しい定義を追加しました/Cambridge Dictionary adds new definition for ‘slop’ to reflect ‘low-quality content created by AI'(The Bookseller)
「slop」という英単語にはいくつかの意味があります。主な意味は、「液体をこぼす、まき散らす」という動詞と、「食べ残し、飲み残し」を指す名詞です。また、スラングとしては、望ましくないAI生成コンテンツや、感傷的なお涙頂戴の物語を指す場合もあります。
検索で調べたらgoogleのAI overviewが教えてくれました。さすが勉強してますね。
生成AIの進化は著者や出版社のコンテンツ創作をどう変えるのか 生成AIによるストーリーテリングの新たな可能性(東洋経済オンライン)
企業によるAI活用の100以上の事例をまとめた書籍『生成AI活用の最前線』(略)本書から、コンテンツの創造、制作、ストーリーテリングに影響する部分を抜粋、編集してお届けする。
私も本書の存在は認識していたのですが、ストーリーの創作や、翻訳などの出版プロセスの強化、そして音声コンテンツと、かなり踏み込んだ事例もあるようです。各産業のAI活用事例集ということですか。うーん、全部バラバラに記事化してアウトプットするのもありなんじゃないか、など思います。
グローバル・各国事情
【速報】「第31回北京国際ブックフェア(BIBF)2025」レポート
毎回恒例フォレスト出版さんのブックフェアレポート。いつもありがとうございます。求められる書籍の傾向も変わったとのことですが、やはり気になるのはお国の経済の状況と、国対国の方針の変化ですね。あんまり大声でベラベラいえないところですが。
Beijing International Book Fair Expands Amid a Buoyant Book Market(PW)
数字の話が出ていますが、まあ、色々なご事情があることでしょう。
From traditional tales to tech trends: Exploring the 2025 Beijing International Book Fair(CGTN)
ご紹介したことがないニュースサイトに当たりましたので。
Seoul’s Outdoor Library and Reading Culture Take Center Stage at 2025 Seoul International Book Fair
読書スペースがテーマになるのはユニークですね。COEX何年行ってないだろう。。
その他のトピックス:
【特番】2025年上半期の出版ニュースを振り返る ―― HON[.]jp News Casting / 大西隆幸×菊池健×libro×古幡瑞穂×西田宗千佳×鷹野凌(hon.jp)
書店・コミック・デジタル・グローバル・AI。ポイントは最初バラバラなようでいて後半つながっていくのに唸りました。海外コミックの話が普段聞けない部分で興味深かったです。
BookTok の書籍: 出版社が自費出版の著者に注目する理由とは?/Books on BookTok: why are publishers turning to self-published authors?(The Bookseller)
出版社がインディー作家とメジャー契約する事例が相次いでいる。新しい作家を見出し育てるよりも手っ取り早いしビジネス的にも間違いないからだ。みたいな感じ。インディー著者がブックトックの力でファンを獲得しているという理解でいいのかしら。
読書メモ:
『このオムライスに、付加価値をつけてください』
で、なぜ背景がバナナなのだ、とかいわない。
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