読書メモ:このオムライスに、付加価値をつけてください

オーディオブック読書メモ

柿内尚文さんの著作はこれまで全て読んできました。こちらでも何冊かについて読書メモを残しています。私自身、最近ではビジネス書を読んで新しい知識やノウハウを得るぞ!という目的感や感覚はあまりなくなってきました。年齢を重ねるにつれて、かつてのように焼肉をバンバン食べられるような知識の飢えと吸収力は毛髪ほどに薄くなりました。むしろ今では、「この食材、こういう調理法があるんだな」とか、「これは食べたことがあるようで、実は知らなかったかも」といった、モリモリ食べられた時には見過ごしていた細部に目が向くようになっています(そういうお店にいくことが少ないからか?)。

そういった意味でも本書は、ビジネスノウハウをインプットするというより、名シェフ・柿内さんの付加価値レシピをじっくり味わうような気持ちで読みました。

本書は、はじめてですよね、テーマがタイトルになっている一冊です。オムライスではなく、付加価値です。カバーイラストのようにすでに皿に乗っているオムライスに価値をつけるのは難しいですが、そういう話ではありません。普通においしそうな「よくあるオムライス」を、どうしたら「魅力的なオムライス」として認識してもらうか。そのアプローチを掘り下げていく内容です。

ビジネスとは、付加価値をつけることで成り立っている――。ではその「付加価値」とは何か? なぜそれが必要なのか? また、ビジネスの常套句で差別化 がありますが、 それとの違い。人が その商品やサービスを魅力的だと判断するのは、付加価値 が提示されて、それがうまく伝わっている状態 になっているということです。その 心の動きはどのよう プロセスで進むのか、どんな時に付加価値と認識されるのか――それを多くの身近な事例を通して紹介し、さらに手法として整理・命名しています。

例えば、「再定義化」や「当てはめ法」といった手法は、言葉の響きだけでも 開き切っており明快です。日々の生活の中で、何気なく見た広告に惹かれて商品を買ってしまった経験がある方も多いはず。その時、私たちはどんなメソッドに惹かれたのか、なぜそれに引き寄せられたのか。そう考えると、自分自身がどんな“付加価値”に反応しているのかが見えてきます。それはビジネスだけでなく、自己理解やライフスタイルにも活かせる気づき だと思います。

「付加価値」に、さらに“読者への付加価値”を加えてくれる本書。やはり、これは“至極の一皿”でした。……うーん、レビューとしては不要価値ですね。残念。
(本書はaudible版で読みました)

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『このオムライスに、付加価値をつけてください』
柿内尚文 著 ポプラ社

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