デジタル・海外・AI出版ニュースまとめ:2025/06/22

デジタル書籍・AI・海外版権

暑中見舞いではありませんが、せめて涼しげな画像にしようと思いました。

今週のピックアップ

2025年のアメリカのデジタル出版産業:電子書籍、アルゴリズム、そして終わりなきスクロール/America’s Digital Publishing Industry in 2025: Ebooks, Algorithms, and the Endless Scroll(PublishingState.com)

米国の記事ですが、変革期である今を的確に切り取っている内容で、課題出しのタタキに使えますね。部署担当のDX化などで済む話ではなく、何をビジネスとしていくかをAIの成長予測も踏まえて考えなくてはいけません。

デジタルブックトピックス:

オーディオブック・ポッドキャスト・音声関係

テンセント・ミュージック、12.6億ドルでヒマラヤを買収(中国経済新聞)

先週ご紹介したニュース、別ソースです。先週のロイターは24億ドルとありましたが、この数字は株式発行額をあわせたもので、現金はこの12.6億ドルということのようです。10年近く前、オーディオコンテンツの覇者として君臨し数字もぐんぐん伸びている時に北京支社を訪問したことがありますが、まさかこのような流れになるとはね。オフィスをぐるっと案内していただきましたが、まー若い方ばかりで驚いたのを覚えています。そしてテンセントはどこまで拡大するのだろうか。


人気サービスはAI機能を次々追加。一部の利用者は停止を望む/Popular services keep adding AI. Some customers want them to stop.(WashingtonPost)

人気サービスはどこかといえばaudibleとduolingo。AIで生成された合成音声で作品を味わったり語学を学習するなんてどういうこと?辞める!みたいな話。audibleはフィクションも続々AI音声化されているってことなのかもしれませんね。少なくともKDP作品はそうなるか。


アマゾン、オーディオブック配信を巡る著者の訴訟に直面へ──米国判事が訴訟継続を許可/Amazon must face authors’ lawsuit over audiobook distribution, US judge rules

audible で独占的に先行販売することを拒んだ著者に高い販売手数料を課したことで、著者が大憤慨してアマゾンを訴えたという話です。著者とアマゾンが直接、ということはACXでの契約ですね。KindleでいうところのKDPです。こちらは日本でもありますがやはり2種類の掛け率になっていましたね。ACXの日本への上陸も近いと思われていますが、果たして。


オーディオブックをマーケティングする最良の方法/The best ways to market your audiobook
(The Good E Reader)

出版社向けの記事かと思ったら著者向けでした。先ほどのACXの話もそうですが、KDPの著者がオーディオブックをつくってみようという大きな流れがあるのでしょうか。KDPも出しただけでは売れないと思いますので、ネットと仲良くなりエンゲージを深めるという部分では一緒ではないかなあと個人的には思います。


audiobook.jpでかんき出版50%オフセール中(audiobook.jp)

【宣伝です】かなりレアな規模の大セールです。26日まで開催中!

電子書籍・コミック・リーダー端末・アプリ

京都を中心に展開する「大垣書店」と電子書籍ストア「honto」が協業リアル×デジタルで、本や活字文化に触れる機会を増やす試み

DNP運営のhonto、大垣書店との協業でリアル×デジタルの接点強化施策を展開

雑誌も発行するなど出版社でもある大垣書店とhontoが連携し、雑誌の電子化や流通で組むとのこと。zineがブームって、急にいわれてきてそうなんですか?って今ひとつ私周りでは実感がないのですが、電子化やアーカイブの需要も発生するかも。


違法流通される韓国コンテンツの7割はウェブトゥーン(KBS)

「国外に流通される韓国コンテンツの」というお話。勝手に翻訳されて出回っちゃうんですね。映像作品より簡単に加工できるってことなのでしょうが。AIの仕事で、その辺のハードルも低くなってくるのは間違いないですが、取り締まるのもAIの助けなしにはできないということで、なんかの寓話みたいな話でございますね。

知らない間に、電子ペーパーがものすごく進化していた。屋外OK、しかもフルカラー。(Ascll*TECH)

信号機の電球がいつの間にかLED化していた、みたいな静かな移行があるのかもしれません。誰が儲かって誰が損するのだろうかってついつい調べようとして、やめる。


「国会デジタル図書館はすごい、大量の本を読めてpdfにも出来る教養の宝庫」→様々な専門書や古本を探すためにお世話になった人の声がたくさん集まる(togetter)

こういうまとめを見ると、ちゃんとオプトアウトできているだろうかと震えてしまいますね。

ハイブリッド型総合書店「honto」と「セブンネットショッピング」が連携して “書店×コンビニ”で生活者と本の接点を拡大(大日本印刷)

えーなんかわかんなくなってきた。

出版とAI

ニューヨーク・タイムズ 、AIと初提携 Amazonとライセンス契約を締結(Digiday)

「どこのメディアはどこが落とすか」みたいな感じになってませんかね(笑)。アマゾンのAIがNYTのコンテンツを学習すると何が起きるのでしょう?方程式がわかりません。


AI学習の対価還元プログラムがスタート!あらたな収益の仕組みでより創作を続けやすく(note)

以前テスト版としてnoteのクリエイターに募集告知がありましたが、正式にサービスがスタートするのですね。私は今コンテンツはアップしていないけど、せっかくなのでデフォルトのまま委ねてみたいと思います。


グローバル・各国事情

BIBFに日本の共同ブースが登場、40社以上の有名出版社が北京に来た/联合展台亮相BIBF,40余家知名出版社共赴北京之约(BIBF)

BIBF当局のコンテンツ。日本は海外ブース最大。日本ブースに40社、ライツセンターに40社という感じですかね。ライツセンター自体も一般書と児童書の2つに分かれて面積が広がったと聞いていますが訪問した方々の話を聞くのが楽しみです。


韓国最大の書籍展示会「ソウル国際ブックフェア」 開幕(KBS)

北京と韓国のフェアを同時期に開催するのは勘弁してくだせえ、と切に願います。お前留守番だから関係ないじゃないか、といわれれば黙ってしまうのですが。先週版権担当お留守番の方でお留守番会をやりましたよ。落ち着いたら韓国の話も教えてくださいね。


日本の愛読者が見た中国ネット文学 IPによる海外展開の新潮流(新華網)

中国の大手電子書籍プラットフォーム閲文集団とCCCが提携して小説投稿コンテスト「ノベルフォーミュラ日本GP」を開催する。中国のショート動画サービスが続々日本にローカライズされていまして私のSNSのタイムラインを埋め尽くしているんですが、文字起こしや吹き替えもかなり乱暴ですがすごいスピードでサービス数もローカライズも進めています。文学でも同じような流れがすでにあるんですね。

閲文集団の最新データによると、2024年末時点でポータルサイト「起点国際」は、中国ネット文学の翻訳作品を約6800本配信し、海外のネット小説家46万人を育成、海外のオリジナル作品も約70万本配信している。

版権輸入で単行本を出版するモデルとはまた別の大きな流れができているようです。

その他のトピックス:

TikTok出版社8th Note Press、著者が権利返還交渉中で閉鎖の可能性浮上/TikTok publisher 8th Note Press looks set to close as authors ‘negotiate rights return’

Tiktokの運営会社Byte Danceが出版社を立ち上げた、というニュースはこちらでもご紹介しましたが、閉鎖の可能性とのこと。スタートした時もなんというか推測記事みたいなニュアンスだったと記憶しているんですが、どうなんでしょうね。元はといえば、BookTokが盛り上がってマーケティング情報も十分集まり、これ出版社やれるんじゃねといって始めるんだ、という流れだったと思いますが。


BookTok本の現状:出版社はコンテンツクリエイターを利用しているのか?/Books on BookTok: are content creators ‘taken advantage of’ by publishers?

こちらは英国の記事。BookTokkerと出版社と広告代理店の関係について。献本とギャラについてのところは、ああ英国もそうなのね?という感じです。PRとステマについては国の制度もあるでしょうが、インフルエンサー案件で儲かるのか、広告で儲かるのか、選択肢と明確な料金相場があるのが望ましいですね。

読書メモ:

『神の子どもたちはみな踊る』

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