読書メモ:サボタージュ・マニュアル:諜報活動が照らす組織経営の本質

オーディオブック読書メモ

『サボタージュ・マニュアル:諜報活動が照らす組織経営の本質』は、第二次世界大戦中にアメリカの戦略諜報局(OSS)が作成した文書『Simple Sabotage Field Manual』を翻訳・解説した書籍です。このマニュアルは、敵国の組織や生産活動を内部から妨害するための具体的な方法を示しており、現代の組織運営における非効率や問題点を逆説的に浮き彫りにします。

……と、冒頭の説明は私のAIアシスタントきのこちゃんに書いてもらっちゃいました。立派な“サボり”ですが、そもそも「サボる」という言葉の語源は「サボタージュ」から来ているんですよね。労働者が抗議のために木の靴を機械に投げ入れて壊したという逸話があり、この木靴をフランス語で「サボ」と呼んだことから、「サボタージュ」という言葉が生まれたそうです。激しいですね。「サボる」どころか、破壊して妨害して、台無しにするというのが本来の意味だったわけです。あ、このエピソードもきのこちゃんに教えてもらいました。

本書の内容は、サボる方ではなく「サボタージュ大全」とでもいうべきものです。

本書は「解説」と「原文の翻訳」に分かれていますが、さすがに原文は第二次大戦中に書かれたものだけあって、どこか素朴さを感じさせます。「嘘の通報をしろ」「機械に砂を撒け」「鍵穴をふさげ」など……うろ覚えですので多少間違っているかもですが、少し可愛げすらあります。昔の漫画のようだ、という感じでしょうか。

でも、一方で、自分たちがそれをやられたらと考えると、背筋がひんやりしますよね。たとえば、朝会社に来たら鍵穴がアロンアルファで固められていたら? 真夏に窓が全部割られていたら? Wi-Fiのルーターが破壊されていたら? それだけで簡単に数日、会社の機能が麻痺してしまいます。シンプルなことでも効果は絶大。今らしいテクノロジーでいえば、PCウイルスなどはまさにこのサボタージュ活動そのものです。実際に、会社の業績に大きな影響を与えた事例も多くありますよね。

本書の前半にある解説では、「組織を妨害するにはこんなことも有効ですよ」という事例がたくさん挙げられています。少しあげてみます。

  • 会議を頻繁に開催し、重要な業務を妨げる
  • 非効率な従業員を優遇し、優秀な従業員を冷遇する
  • 業務の承認手続きを複雑化する
  • 文書の細部にこだわり、時間を浪費する
  • 重要ではない業務に完璧を求める
  • 無意味な質問を繰り返し、会議を混乱させる
  • 噂話を広め、組織内の信頼を損なう

怖くないですか? どれも、無駄のない「凄み」を感じませんか?
とともに、こういう話ってサラリーマンが居酒屋でこぼす愚痴ランキングの上位に並びそうな項目ばかり、ともいえませんかね。とすると、今日新橋のある居酒屋でコテンパンに槍玉に上がっている(当然本人はそこにはいません)対象になっている上司Aさんは、実は「使えない人」なのではなく、ライバル会社から送り込まれたサボタージュ工作員なのでは? もしかすると、自社の業績を巧みに削っている優秀な妨害エージェントかもしれません。そんなサラリーマン小説の設定が、つい頭に浮かんでしまいます。

先ほど書いたように、普通の会社の機能を一時的に止めることなど、実は簡単だという事実は、リスク意識としてしっかり持っておかないといけないなぁと、しみじみ思いました。

著:米国戦略諜報局(OSS), 著:越智啓太
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『サボタージュ・マニュアル:諜報活動が照らす組織経営の本質』
米国戦略諜報局(OSS) (著), 越智 啓太 (監修, 翻訳), 国重 浩一 (翻訳) 北大路書房

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