今週のピックアップ
楽天グループ「楽天Kobo電子書籍Award 2025」授賞式 写真集部門大賞に後藤真希氏(文化通信)
いやただゴマキ見れていいなあというだけなんですけど。夢のある話だなあって(誰にとって?)。来年がんばろう(何を?)。
デジタルブックトピックス:
オーディオブック・ポッドキャスト・音声関係
なぜ日本で「音声コンテンツ」は流行らないのか? 市川紗椰がその要因を分析「世界では”耳の黄金時代”が来ています」(週プレNEWS)
欧米との生活スタイルの違いと、日本人の音声コンテンツへの繊細な好みが影響しているのではないかという考察。私は日々ニュースを集めていて感じるのはもう一つ、図書館のインフラが充実していることがあるかなと思います。続きもあるとのことで楽しみです。しかし市川紗椰さん週プレ連載かあ。私とかの世代はなるほどと思いますけど、若い方はミスマッチに感じたりするかもなあ。そもそも週プレの謎に硬派なモノクロページとか、まだ存在しているのだろうか、と大脱線。
大手オーディオブックサブスクリプションサービスは詐欺だ/The Big Audiobook Subscription Services Are A Scam(Good E Reader)
Audible Standardという新しい低価格プランが走っているとのことです。手元に残らないというのが詐欺案件っていうスタンスなのかなあ。kindleのアンリミテッドもキープできる冊数は一定ですし、動画サービスもコンテンツを所有するイメージはないと思いますけどねえ。Audible Standardは日本では導入されてないですけど、果たしてはてさて。
メラニア・トランプがAIを使って回顧録を「自分の声」で語る:「新時代」/Melania Trump uses AI to narrate her memoir in her ‘own voice’: ‘New era’(New York Post)
米国ファースト・レディが自叙伝のオーディオブックを、本人ベースのAI音声で作成したというお話です。新しい試みも、大物で打ち出しますねえ。すごい。制作したのはeleven’s laboってことはspotify?かと思いきや本人サイトとeleven’s laboアプリで購入・利用化とのこと。すごー。
今年の初め、彼女はアマゾンと4000万ドルという目を見張るような契約を結び、彼女の人生についてのドキュメンタリーを制作することが明らかになった。
どういうこと?と2度読んでしまいましたが、これはprime videoであろうドキュメンタリー映像作品のようですね。ガンガンいくなあ。
電子書籍・コミック・リーダー端末・アプリ
【電子出版特集】出版ビジネスの新たな起点となる電子書籍 IPファースト化、パーソナライズド化進み、オーディオブックや紙書籍との融合も視野に(文化通信)
堀さんの記事です。企画会議という場ひとつをとっても、「この書籍企画が通るか、否か」だけをジャッジという話ではなくなってきていますよね。狙いベースを定めるといえばいいのか、でこの企画のキャッシュポイントをどこなの?みたいな視点も含めてコンテンツと販売の定義を組み替えていかなければいけないなあ、と。あ、ちょっと評論家みたいな目線になっちゃってました?
読者は「ペイウォールを攻略する」680万件の読者データから浮かび上がるサブスク促進に必要なこと
ペイウォールからの購読: 0.21%(新規購読または更新)という数字があるんですね。一見低いように思われるこの数値について考察。壁を前にして人がどのような行動をとるのかが数値化されています。面白いです。
そういえば先週の投稿で、鷹野さんにコメントで教えていただいていたのでした。ありがとうございます!私は技術的なことは疎いのですが往生際は悪いので読めないはずのものが読めちゃったりすることはあります。ただその情報をご紹介してよろしいものかという第二の倫理ウォールが出現するんですよねえ。
The Top 10 Kindle Unlimited e-books for Spring 2025(Good E Reader)
タイトル翻訳省略。
やっぱりフィクションですねえ。
電子も紙も積読を消化する技術(sasasin’s blog)
昔は裁断してスキャンして、が当たり前というかそうするしかなかったですが。そうか、非破壊スキャナーというものが存在するのですね。読む限り確かに便利そうな感じですが結構工数があるので心理的なハードルは高いですね。私は読む本をオーディオブックのプラットフォームの中で探すという発想になってからは、あれもこれも音声化されてないから読めない、というストレスがぐっと減ったので、それがいいのか悪いのかはともかくとして、自炊してまでは・・と思ってしまいます。Kindle の アシストリーダーはそういえばちゃんと使ったことがなかったので、こちらは早速試してみよう。私はオーディオの積読も相当たまっておりまして。。趣味ですから別にいいんですけどね。
出版とAI
GoogleのAIモードは「窃盗の定義」とパブリッシャーが指摘、オプトアウトが検討されたとのこと/Google’s AI Mode is ‘the definition of theft,’ publishers say, opt-out was considered(9to5Google)
なかなかに強烈な言葉遣いですね。出版社の言い分としては、要はSEOのために内容をgoogleに情報をクロールさせているのに、その情報を学習してユーザーにさも自分が持っているかのように知ったかぶりをしているという感じですね。
AIが英国のクリエイティブ産業を壊滅させるのを防ぐチャンスはあるが、それは無理っぽい/We have a chance to prevent AI decimating Britain’s creative industries – but it’s slipping away(The Guardian)
AI企業がその作品の所有者が「オプトアウト」しない限り、デフォルトで著作権で保護された作品を盗むことを許すという独自の「好ましい」結果をもたらしました。
英政府の、上記の決定に反対するアーティストたちの抗議文です。こちらも苛烈です。米も英も続いていく話かと思われるので感想はともかくとして追いかけたいと思います。
グローバル・各国事情
業界が小規模なフェアを利用してロンドンやフランクフルトの熱狂に打ち勝つ方法/New writers, open conversations: how the industry uses small fairs to beat the frenzy of London and Frankfurt(The bookseller)
フランクフルトには行ったことはないのですが、いわんとすることはなんとなくわかります。アポイントも小刻みに慌ただしくせざるを得ないメガブックフェアと、規模こそこぢんまりでもゆっくりと話ができるフェアでは相手も話す内容も変えたほうがいいですよね。いずれにしてもアポのマッチングが重要ですね。
テヘラン国際ブックフェア参加レポート(アラビアラボ)
中世イスラーム医学史を専門とする大学院生さんのブログ。出版業界界隈ではない人で参加している日本人ってかなりにレアなんじゃないかと。出版界隈でもレアでしょうね。たくさんの写真が入っていて嬉しい。全体の広さの感覚はさすがにわかりませんが、建物の感じとかいかにもでいいですね。
どうでもいいけどテヘランとか語感がすきなんですよねえ。
モスクワでの逮捕報道に関するIPA:「ロシアの出版社が今直面しているリスク」
国際出版協会は、ロシアが「LGBTプロパガンダ」に反対する行動をとっているとの報告について、世界中の会員に警告した。
大国が揃って保守化、か。
その他のトピックス:
【デジタルマーケティングの真価】03 本格化する日本のライブコマース市場 TikTok Shop一強時代は訪れるか(文化通信)
中国のTikTokは物流との提携がガッチリできているのでまさに自社ECサイトを持っているような使い方ができるのですね。書店、ネット書店、ライブコマースと売り先に当たり前に組み込まれている感じ。そしてそれを成り立たせているのはかなり思い切ったディスカウントと、有名インフルエンサーの採用。後者はもうお金払えませんわ、で社内で運営しているところも増えたようです。このあたり、日本ではB本などでしかできないか?
一部の出版社が聞いたことのない最も収益性の高い収入源/The most profitable revenue stream some publishers have never heard of (promoted)(Press Gazette)
なるほどこれは面白いですね。出版社どこでもできるかというとかなり限定されるとは思いますが、定的なアワードや、セレクションをやっているようなところはありですね。実際ライセンスしているところは、あるんでしょうか。聞いたことはないなあ。
新聞が偽の夏の読書リストを掲載/Newspapers Run Fake Summer Reading List(publishers lunch)
米国の主要紙で「夏のおすすめ15冊」的に紹介された15冊のうち9冊に発行履歴がなかったと。やだこわい。このような間違いは、プロンプトで特別な対策をしなくてもかなり減ったと思うんですけどね。
AI生成の書籍リストについてメディアが謝罪/Outlets Apologize for AI-Generated Book List(publishers lunch)
上の記事の続報です。ノールック掲載とでもいえばいいのでしょうか。当事者であったらと想像すると狂おしくなります。
読書メモ:
『エミン流「会社四季報」最強の読み方』
『患者の前で医者が考えていること』
『THE EAT 人生が劇的に変わる驚異の食事術』
それではまた来週。
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