デジタル・海外・AI出版ニュースまとめ:2025/05/18

デジタル書籍・AI・海外版権

今週のピックアップ

米国のひとつの州の法律という、私たちには遠くて小さい話ではあるんですけど、電子図書館については長い間もやもやと考えていた、いや考えてはいないな、引っかかっていたのでこのような記事を見つけると引っ掛かりを思い出してしまうんですよね。なのでシェフの気まぐれピックアップ的に受け取っていただければと思います。

コネチカット州議会、図書館向け電子書籍契約を規制する法案を可決/CT House approves bill placing limits on library e-book contracts(ct mirror)

コネチカット州議会は、公共図書館と電子書籍出版社との契約条件に制限を設ける法案「Senate Bill 1234」を可決。「26回の貸出または2年間の利用期限後に再購入が必要」という販売契約のため繰り返し購入するコストが増大し利用者へのサービス向上できない、とな。で、この利用制限などの契約条件がNGになるということですね。↓もう一つ。

コネチカット州の議員は、最新の法案で電子書籍の高コストをターゲットにしています/Connecticut lawmakers target high cost of e-books in latest bill(CT INSIDER)

個人的にも、この「26回貸出または2年で再購入」というルール、そのまま読むと高く感じますよね。
欧米では電子書籍の図書館向け価格が、定価の2〜3倍ぐらいが聞いた記憶があります。日本もそれぐらいが多いと思います。

出版社の視点からですと、26回も貸し出されるということは、それだけの数の“読者”がその本を無料で利用している感覚になるわけで、「じゃあ、25回分は売上として失われたのでは?」と思えてしまうのも理解できます。

この辺りの感覚のズレは、図書館と出版社の間では昔からある構造的なズレかもしれませんが、それが「法律で契約の形そのものを規制される」というのは、少し行き過ぎのようにも思えます。

この話題、冒頭に書いたような引っ掛かりの絡みで以前から気になっていて、いつかもやもやをまとめたいと思いつつうまく形にできないでいます。今回のニュースをきっかけに、また少し考えてみたいなと思っています。引き続き、宿題です。

デジタルブックトピックス:

オーディオブック・ポッドキャスト・音声関係

Audibleは、AIの声を使用してオーディオブックのナレーションを行う計画を発表/Audible unveils plans to use AI voices to narrate audiobooks(The Guardian)

Audibleは、AIテクノロジーを使用してオーディオブックのナレーションを行い、AI翻訳をフォローする計画を発表しました。Amazon傘下のオーディオブックプロバイダーは、同社のAI制作技術を「厳選されたパートナーシップ」を通じて特定の出版社に提供すると発表しました。

単純にACXのバージョンアップというわけではないようですよ。audibleが制作機能も出版社に開放するプランが作られる模様です。当然ながら業界内では反対の声も出ているとのことで。情報量多いのでご興味がある方はぜひ翻訳かけてみてください。そしてもう一本↓

Audibleは、出版社により多くのオーディオブックを迅速に作成するためのAIツールを提供しています/Audible is giving publishers AI tools to quickly make more audiobooks(the verge)

「英語、スペイン語、フランス語、イタリア語でAIが生成した100以上の音声の中から、複数のアクセントと方言のオプションを持つ、急速に成長し改善されている音声の選択肢から選ぶことができ、テクノロジーの進化に合わせてタイトルの音声アップグレードにアクセスできるようになる」

初回のリリースには日本語は入っていないですね。


ヴィクトリア・モネが娘のヘーゼルと「コア・メモリーズ」レコーディング・オーディオブックを制作/Victoria Monét Made ‘Core Memories’ Recording Audiobook with Daughter Hazel(people)

シンガーソングライター(って今いうんですか?)のヴィクトリア・モネさんが自著のオーディオブック化にあたって本人と実の娘さんとレコーディングをおこなったという話。書籍の内容は詳しくは書かれていませんが、分離不安障害に関するテーマということで、おそらくストーリーなのではないかと思いますが、こういう形で話題になるのはなんかいいなと思いました。

電子書籍・コミック・リーダー端末・アプリ

Googleは、デジタル書籍の販売でAmazonを静かに優位に立たせています/Google is quietly giving Amazon a leg up in digital book sales(washington post)

 問答無用の課金の壁に阻まれ、タイトルコピペもままならない。これは厳しい。コメント掲示板みたいのを見つけて、うっかり読めてしまいました。ごめんなさい。不思議なのは、こんなかっちりとした課金ブロックがあるのに生成AI氏(きのこちゃんと呼んでいます)が内容を要約して見つけてきてくれることなんですよね。どういうことなんでしょうね。
 記事の内容は、Android版のAmazon KindleおよびAudibleアプリ内で、ユーザーがAmazonの「1クリック購入」ボタンを使って電子書籍やオーディオブックを直接購入できるようになっているという話です。​これは、他の多くのアプリがGoogleやAppleのアプリ内課金システムを使用しなければならない中で、Amazonが特別な扱いを受けていて、他のストア事業者はこの「ひいき」に対してなんなん、みたいにいってます。そりゃそうだ。そしてソースのワシントンポストですが、このメディアアマゾン傘下なんですよね。ややこしや〜。


出版とAI

一部のパブリッシャーは、GoogleのAIを活用した検索が大惨事になることを恐れています/Some publishers fear that Google’s AI-powered search will be a catastrophe(Columbia Journalism Review)

googleなどの検索って、ユーザーは知りたいことを調べる便利なツール。サイト運営者は、自サイトにユーザーを連れてくるありがたいサービス。検索サービス運営者は便利なサービスを提供することでアクセスやクライアントが集まる広告媒体。このグーチョキパーのwinwinwinのシンプルかつ強固な関係がAIによって崩れる?みたいな話でいいのかな。

グローバル・各国事情

ネット書店・博客来、電子書籍リーダーの体験店を開設 売り上げ3割増見込む/台湾(フォーカス台湾)

台湾にはアマゾンが進出していないのです。博客来が独立系のネット書店として紙書籍・電子書籍両方の販売をリードしています。台湾では電子書籍が売れないと長らくジリジリしていましたが最近は認知高まったようですね。セブンイレブンで専用のリーダーを発売して、売れ行き好調とのことです。ファッションアイテムになっているのかしら。


ワルシャワで国際ブックフェアが開催、韓国にスポットライトを当てる /International book fair opens in Warsaw, with spotlight on South Korea(Portal Polskiego Radia)

ワルシャワかあ。ウクライナとの国境とはいわないけど隣国ではあるし、世界中からの渡航はどんなんだろう。


トリノ・ライツ・センター:登録者500名、フェロー70名/Torino Rights Center: 500 Registered, Plus 70 Fellows(publishing Perspective)

ボローニャは有名ですけどね。トリノもあるんだ。しかし同時期にあちこちで開催されているもんだなあ。EU内で順繰りにやっている感じなのかなあ。

その他のトピックス:

アマゾンはKindleを含むデバイス部門の100人を解雇した。/Amazon has fired 100 people in the devices group, including Kindle(Good E Reader)

デバイス部門がよくないみたいです。Kindleは特に上位モデルが。私KindleScribe現物見たことがないので、一回触ってみたいなあとは思うのですが、Scribeならではの機能については、使わないだろうなあとも思います。書いても見返さない自信が。。


アマゾンは今秋、新たなプレミアムデバイスを発売する予定だ/Amazon will release new premium devices this fall(Good E Reader)

いや、別に僕はなんにもいってないですよ。


【輸入販売開始】絵文字が付いてやさしく読める はじめての世界の名作~革新的な読書バリアフリー英語本“Symbolised Classics”シリーズ新登場!(岩崎書店)

株式会社岩崎書店 絵本の家事業部では、“Symbolised Classics”(絵文字が付いてやさしく読める はじめての世界の名作)の日本市場独占輸入販売を開始いたしました。

リリース内に画像も入っていますが、文字と絵のアイコンで理解をサポートするとのこと。日本では英語学習の文脈で訴求するのかな。

読書メモ:

先週読書メモが全然読まれないってぼやいたらアクセスが増えました。ありがとうございます。でもやっぱり恥ずかしいので読んで欲しいは撤回します。読まれないというぼやきは継続します。半分は、アイキャッチ動画を作るのが面白くて続いている、ような気がします。

『ストーリーが世界を滅ぼす』


『とっさに言葉が出てこない人のための脳に効く早口ことば』


『芸能界を変える──たった一人から始まった働き方改革』

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