オーディオコンテンツの主流がサブスクリプションモデルになってきたことで、「その特性を活かして面白いコンテンツが作れないか?」という雑談をしたことがあります。そのとき出たアイデアが、たとえば「毎日お経を唱える習慣オーディオブック」「百人一首の上の句読み手のオーディオブック」「円周率をひたすら読み続けるもの」など。そして「古今東西の早口言葉を集めた音源なんてどう?」というアイデアも出ました。
要するに、時間は短くても、繰り返し聴かれるコンテンツというのが狙い。再生時間で収益が発生するサブスクモデルでは、ありなんじゃないかと。まあ、ブレストの範疇ですけど。
そして、「実際に出てるのとかあるのかな」と探してみたところ、本当にありました。しかも思ったより本格的なものが。それが本書『とっさに言葉が出てこない人のための脳に効く早口ことば』です。
本書は、脳トレの第一人者・川島隆太先生と、早口言葉をネタにするお笑い芸人・大谷健太さんのコラボによる一冊。
川島先生による脳科学の解説と、大谷さんによるオリジナルの早口言葉が組み合わさり、音読によって言語処理スピードを高める脳トレとして成立しています。しかも、使われている早口言葉がすべて書き下ろしの新作。これが古典的なものと違って、聞いたことも口にしたこともないフレーズばかりなので、脳にとってもとても新鮮な出会いとなるでしょう。しかも、さすがお笑い芸人作で、シュールで面白い。
私はいつも通りAudibleで1.7倍速で聴き始めたのですが、さすがに途中で追いつけなくなって、早口言葉のパートは少し速度を落として聴きました。
散歩中などは、音声に合わせて自分でも口に出してみたりできますが、電車の中ではさすがに声に出せませんね。ただ、本来は「声に出す」こと自体が脳トレのポイント。
とはいえ、耳からリスニングして反復することも、脳の別の領域が活性化されるのではないでしょうか。そのあたりのエビデンスも今後知れたら、より納得感がありそうです。まずは、ナレーターのけんぞうさんの脳トレになったのかをうかがいたいところですね。

『とっさに言葉が出てこない人のための脳に効く早口ことば』
川島隆太 (著), 大谷健太 (著) サンマーク出版
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