著者・木下さんの本は、この『チームX』を読了したことで、全部読んだことになります。
最近の私の読書、というか書籍との出会いは、AudibleやオーディオブックJPの聴き放題の新着情報やおすすめからが多いのですが、木下さんの本は例外でした。
私は仕事でネット広告に携わっています。広告を出すこと自体は機能的にはシンプルにできるのですが、「費用と成果のバランスってどのくらいが最適なんだろう」と悩んで調べたのですがつきあたらず、大型書店で該当の棚を探して『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法』を手に取ったのが最初でした。
「この本には自分が知りたかったことが書いてある!」と喜び、また同時に、このような悩みを持っている人は多いだろうに、類書がほとんどないんだなあと感じたので、かなり印象に残っているのです。その興奮が、読書メモの長さにもあらわれています。
最初は実務に直結する部分をピンポイントで読み、その後オーディオブックで通読しました。この読み方、かなりオススメです。
とても参考になったので、木下さんの他の著書も(すべてオーディオブック化されていたこともあり)順番に読んでいきました。どの本もメソッドや法則がわかりやすく言語化されていて、実際のケースと一緒に紹介されるので説得力が高く、「自分でも取り入れられる」という感覚に満ちていました。
最後に残っていたのがこの『チームX』です。
読むつもりではいたのですが、「ストーリーで学ぶチームの作り方」と聞いて、ビジネス小説っぽいのかな…と少し躊躇して、後回しにしてしまっていました。
でも、今回読んでみて、ためていた時間がもったいなかったなぁと少し後悔。面白かったです。
「ストーリー」といっても、小説のようなフィクションではなく、もちろん説明のために整理や脚色はされているかもしれませんが、基本的には北の達人コーポレーションで実際に起きた課題と、それをどう解決して成果に結びつけたのかを時系列でまとめた内容です。
「プロジェクトX」的と言えばわかりやすいでしょうか。
本書には、これまでの著作の“種明かし”のような内容も含まれています。ネタバレというほどではないと思うのですが、こっそりお伝えすると、これまでの著作もこの『チームX』のストーリーの一部に組み込まれていたのだ、ということが明かされます。
どういうことかというと、著者が「言語化」し、その言語をチーム内の共通言語にするために書籍を書いた、という理由があったのです。
ブランディングの一環として出版するという例はありますが、自社のノウハウを言語化・定着させるために書籍を書く、そしてそのノウハウがオープンに販売される——これはなかなかレアで、かつ大胆な試みだと思いました。
やっぱり、ぶっ飛んでいるなぁ、と(笑)。
このように意図が明かされることで、これまでの本がどのタイミングで、どんな目的で、どのような必要性のもとで生まれたのかもわかります。
ですので、これから木下さんの本を読む方には、まずこの『チームX』から読むのもいいかもしれません。そのほうが、これまでの本で説明されているノウハウの意味や背景が、よりクリアに理解できるのではないかと思います。
そして本書の最後には、これまでの本と同様に、熱いリクルートメッセージも掲載されています。
なんというか、もう、さすがだな、としか言いようがありません。

『チームX』
木下 勝寿 (著) ダイヤモンド社
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