読書メモ:まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書

オーディオブック読書メモ

『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』を手に取ったのは、吉祥寺のジュンク堂書店でした。しっかりと面陳列されているのを見て、「さすがジュンク堂、硬派な本もしっかり推すなあ」と感心しつつ通り過ぎたのが最初の出会いです。タイトルには惹かれましたが、正直、私自身がアカデミック・ライティングを必要とする場面はこれから先もまず無いだろうと、その場で“自分には縁のない世界”と判断していました。

ただ、こうした硬い本が話題になり、売れているということ自体に「よいなあ」という気持ちが湧きましたし、AIがどんどん作文能力を向上させていく今、人間の“書き手”としての作法やリテラシーがより必要とされているのかもしれない…そんな思いもあり、心の片隅で気になっていたのです。何度かジュンク堂を訪れるたび、ずっと良い場所に平積みされているのを見て、「頼もしいな」と嬉しくなっていました。そしてパネルの著者写真を見て「わっか!」何者?という興味も芽生え。このたび、オーディオブック版を見つけ、ついにポチッと購入してしまいました。

私が文章を書くのはこのブログくらいのもので、アカデミックな要素も作法もない、ある意味フリーな環境。前も書いたことありますが音声入力でバーっと話してAIに整えてもらうという“ジャンク”な書き方をしているので、この本を聴くのは社会見学的な感覚でした。でも、他業界を覗き見るようで、とても面白かった。イントロダクションの大切さや、パラグラフとは何かといったおそらく基本のたしなみから、論文がどのようなポイントで評価されるのか。アカデミックな雑誌に掲載される条件や意味など。普段接しない世界のルールに、へえ、へえの連続でした。

論文だから「結論が一番大事」と思い込んでいましたが、結論も修正をリクエストされることがあると知り、「結論ありき」ではないとか、そうなんだ。引用についても、40年前に卒論を書いたときは「引用を増やして枚数・文字数を稼ぐ」という発想だった自分を思い出し、あれは完全に“お作法”としてはズレていたんだな…そりゃそうだと苦笑い。論文の価値の中に「引用」という要素がどんな意味を持つのか、など考えたこともなかった。

ブログでも使えるのはパラグラフの考え方でしょうか。正直いうと見た目文字が詰まっている感じを解消するために文字の間隔をあけていただけだったのですが。そうなんですよね、区切りや流れなどを考えずに喋っていたので、これは意識しておいたら読みやすくなるかも。

論文を書く意味や、社会を変えるために、のくだりについては書き方とはまた別の話ですので、続編や発展版みたいな形であらためて展開いただけたら、楽しみにしています。

『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』
阿部幸大 (著) 光文社

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