『売上を追わずに結果を出すリーダーが見つけた20の法則』。
このタイトルを大学の入試問題のように真剣に解読しようとすると、頭が少し混乱してきます。
ビジネスマンが求められる「結果」とは、通常「売上」や「利益」であることがほとんどだからです。すみません、ちょっとした言葉遊びです。
小さな組織の、そのまた小さなチームのリーダーではある私が読んでみたところ――やはり著者と同じく、若い頃は「ぐいぐい引っ張る」「型にはめる」のがリーダーだというイメージはありました。
一方で、まるで仏様のようなリーダーも存在していて、ただそれはごく限られた、特殊技能のようなものであり、普通の人には無理なのだろうと。
「仏様になれないなら、ぐいぐい型のリーダーになるしかない」──そんな二択しかないと信じていたのです。これはもう、時代の空気としか言いようがないものでした。時代のせいとさせておいてください。
リーダーシップやマネジメントの本がたくさん世に出て、さまざまなメソッドや考え方が世に出ましたが、
そこには「怒鳴り続けろ」「甘やかすとろくなことにならない」「矯正しろ」などという、かつての昭和型リーダーシップを肯定するメッセージは一切ありませんでした。
とはいえ、それに代わる「納得できるリーダー像」はなかなか固まらず、メソッドは存在するのに、リーダーとしてのイメージが定まらないまま、20年近くが過ぎてしまったというのが正直なところです。
そんな中で本書を読んで、「リーダーとはこのようなポジションであり、このような人格であり、チームとはこう関わるものなのだ」と、初めて明快に示されたような気がしました。
本書のスタンスは明確です。
売上アップの方法や数値目標の立て方には触れず、「すべてを分かち合えるチームをつくれば、結果は自然についてくる」と説きます。
一見するとカッコよすぎて引いてしまうほどですが、著者が実際にクライアント企業で行っている研修やワークショップのメソッドも惜しみなく公開されており、「こんなマインドフルなことを本当に実践しているのか」と驚くとともに、「これなら結果が出るのも当然だ」と納得するばかりでした。
著者が提唱する「シェアリングリーダー」という考え方は、リーダーがチーム内の想い、感情、出来事すべてを共有し、関係性の質を高めることで、思考の質、行動の質、最終的には結果の質までも好転させる。売上を追わずとも、結果はチームの後から自然についてくる、というわけです。やばどうしよう。

『売上を追わずに結果を出すリーダーが見つけた20の法則』
加藤 芳久 著 かんき出版
コメント