読書メモ:ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは

オーディオブック読書メモ

ひとつ前に『なんかいやな感じ』という本を読んだのですが、もっとはっきりした「いやな感じ」を追求した本でした。

おそらく本書に出会ったのは、新着情報や「こちらもお勧め」に表示され、深い意味もなくポチッと押しただけだったと思うのですが、結果的によいタイミングで出会えたなぁと思いました。

読み終えて読書メモを書こうと書誌情報を見て驚いたのは、本書が2021年に発売されたものだったということです。タイムリーに読むことができてよかったと思っていたのですが、「そんな前からこんな話が出ていたんだ」と、自分がまったく知らなかったことに驚きました。がっくり。

アメリカの大統領選挙でトランプ大統領がはじめて当選したときも、そして今回2度目の勝利を得たときも、「なぜ勝ったんだろう?」と、正直なところ理解できていない自分がいました。「煽るのがうまい」「けなすのがうまい?」「自国のメリットを最優先するので信頼できる」などと報道されているイメージはわかるのですが。かなり際どい、あるいは事実ではないのではないかと思われることまで公式に発言し、結果として支持を得ている。どういう共感として受け止められているのか、その肌感覚がどうにもわからずもやもやしていたのでした。例えばですけど、「いい過ぎ、間違いもあるけど痛快だ!」なのか「彼のいうことは全て正しい!」な感じなのか、「好きじゃないけどまだマシ」なのか、とか。

テレビで応援イベントの映像が流れると、熱狂的な支持者が盛り上がっている様子が幾度となく映し出されました。そのパフォーマンスは、まさに私も大好きなWWEのプロレスのステージに似たものがありました。実際トランプ氏は出ていましたし。こうした場で熱狂を生むことは理解できます。私自身もWWEの会場にいくと拳を振り上げるわけです。ストーンコールド、カッコよかったなあ。。

熱狂的ではない人、一般市民の半数近くが支持するという事実。そのマインドが理解できなかったのですが、本書を読んで、「そういうこともあるのか」「そういう要素もあったのだろうなぁ」「そこをうまく利用したのかもしれないなぁ」と、タイムリーに納得できる内容でした。そうか、そもそも前回の選挙からそうした側面がすでにあったんでしょうね。

「ポリティカル・コレクトネス」という言葉が出てきた頃、「あー、なるほどね。確かにね」と素直に感じました。「アメリカでは“ビジネスマン”とは言わず、“ビジネスパーソン”と言うんだよ」と聞き、「あー、なるほどね、確かにね」という感じで受け入れていました。私たちもカタカナ言葉としてそれを取り入れました。

ただ、その後彼の国でポリティカル・コレクトネスはどんどん厳密化し、マイノリティの力が強く、そしてクールになっていったということなのです。本書では、実際にニュースで見聞きしたような事件や運動についても説明されています。それが単なるニュースの断片ではなく、その背景が時系列で描かれており、「ここまでいっちゃっていたのか」と驚く内容でした。

本書は、行き過ぎたポリティカル・コレクトネスが社会に歪みを生んでいること、そして日本もいずれそうなるのではないかという危惧についても語られています。

日本では、ポリティカル・コレクトネスの波に追いつけ追い越せというブームが起こっている実感はあまりありませんが、個人的にはお互い居心地の良い距離で仲良くしましょうよと思います。マクロな話から始まって、小学生の作文みたいな締めくくりになってしまいましたが。法律やルールがどうあろうとも個人的には、という意味で。

著:福田ますみ
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『ポリコレの正体』
著:福田ますみ 方丈社

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