読書メモ:いまだ成らず 羽生善治の譜

オーディオブック読書メモ

羽生さんの対談本を読んだからだと思いますが、これもどうですか?とおすすめに出てきたのでしょう、まんまとポチッとしたのです。将棋の強さって大学受験のような学力とも違うし、1対1の駆け引きとか勝負強さみたいなものもあるだろうし、AIが得意とするような処理能力的なところもあるでしょう。とにかく私の理解を超えたレベルでの作戦のぶつかり合いがあり、そして人間ならではの迷いや、心理状態の揺らぎがあり、体力と集中力の限界があり。宇宙ってどうなっているの?と同じぐらいその深さを感じ得ないとんでもない領域に思えるのです。42キロ歩いてみてマラソンの大変さを想像する、よりもわからな度が高いのですね。そういう意味では未知への好奇心よりも遠くって、ロマンスとかのほうがしっくりくるかもしれません。

そんな遠い遠い天才たちも最初ははじめて見る「しょうぎ」というボードゲームだったわけです。出会いと、それからはまっていき成長したり挫折したりのストーリーを、羽生さんという天才棋士の時代を軸に展開されるのです。

羽生さんに「食われる」形となった先輩騎士たち。羽生世代といわれる同年代。羽生さんに憧れて将棋を始めた世代の棋士たち。そして羽生さん以来でしょうか、お茶の間まで巻き込んだ藤井さん。そして棋士たちを周りで支えた人たち。

こういう時系列だけど重なるところ、重ならないところ、因縁のあるないだけではなく内面まで。世代の違いと、キャリア。特に若き藤井さんとの対戦のところは息苦しくなるほど緊張しました。しっかし多層的なルポは将棋の試合と同じぐらいどういう頭の中で作られるのか未知の仕事です。大満足。

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「いまだ成らず 羽生善治の譜」
鈴木 忠平 文藝春秋

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