読書メモ:サイゼリヤ元社長が教える 年間客数2億人の経営術

オーディオブック読書メモ

前回の記事では、サイゼリヤの創業者が書かれた本をご紹介しました。今回取り上げるのは、その創業者から経営を引き継いだ2代目社長による初の著書です。創業者のストーリーはやはり熱量が桁違いで、非常に面白い内容が多いのですが、今回は創業メンバーではなく、外部から入ってきた社長さんが書いた本です。それにもかかわらず、創業者に負けず劣らずの熱量を保っており、続けて読むと本当にエキサイティングなのでおすすめです。

創業ストーリーには、ある種のスピリチュアルな理念やミッションが込められていますが、それを「外部」の立場で引き継ぐ難しさは、想像を超えるものがあります。本書では、著者がサイゼリヤに入社してから次々に重要なミッションを任され、その経験や気づきがスピード感たっぷりに語られています。転職直後に山を任されるような人事が実際にあるのか――その非凡さに驚かされます。

さらに、時系列で見ると恐ろしいほどの速さで多くのミッションを実現しており、その流れの中で社長に就任したことも語られています。その展開が唐突に感じられる部分もありますが、それがどこまで計画されたものだったのかは、著者にしかわからないでしょう。ただ、まるで天才同士の知能戦や空中戦を目の当たりにしているような感覚で、このバトンタッチのストーリーには圧倒されました。 先代の感情や思いみたいなものをあまり深掘りしていないところもクールでした。

合理的かつ説得力のある引き継ぎであったことは確かですが、それを実現するには人間力と愚直な努力、そして信頼が欠かせなかったはずです。著者は次々に大胆な判断を下しつつ、サイゼリヤが大切にしてきた価値観を守り抜き、それが会社全体を一段と成長させる原動力となっていました。

本書では、サイゼリヤのメニュー開発にまつわるエピソードや改善の裏話が語られています。新メニューを実現するプロセスも語られます。ワインという商材へのこだわりについて、私は全然知らなかったですねえ。そして、そのようなこだわりの実現、開発秘話を包み隠さず語っている点に、著者の熱意と誠実さと自信を感じます。

読後、やはりサイゼリヤに行きたくなるのです。実際、読み終わった直後に「行かねば」と思いつつ、行けていませんが、しばらくしてから感想文をまとめた今再びムラムラしてくるという、恐ろしいほどのマーケティング力も持った一冊だと思います。 エピソード一つ一つを思い出すと食べるときに、うんちくとしても 2次利用できるような気がします。語りたいですが、うざがられるだろうなあ。

『サイゼリヤ元社長が教える 年間客数2億人の経営術』

著:堀埜一成

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