創業者の講演や著書は熱量が高く、非常に面白いものが多いですよね。今で言えば「ベンチャー」と呼ばれるかもしれませんが、どの会社にもスタートアップのストーリーがあります。思いを持ってお金や時間を注ぎ込み、新しいことを始める。その挑戦が成功し、軌道に乗るまでの過程には、苦労や喜びが詰まっています。そして、それを語る創業者自身の感情が加わることで、エピソードに臨場感が宿ります。
そういう意味で、本書が面白くないわけがありません。サイゼリヤに一度でも行ったことがある方なら、その味と価格のギャップに驚いた経験があると思います。それが、1つのメニューだけでなく、ファミリーレストランとして多種多様な料理を提供しながらも実現されているというのは、常識では考えられないパフォーマンスです。同じレベルで競争できるチェーンがほとんど存在しないのも、それを証明しています。
では、その驚異的な成果は創業者のどのような思いと手法から生まれたのか。本書では、その答えを知ることができます。普通では考えられないことを実現し、全国展開を成功させた背景にはどのような哲学があるのか。テレビ番組の特集で見るのも良いですが、この本を通じてその思いを直接知ることができるのは最高です。
そんな確信を持って読み始めたところ、その内容のぶっ飛び具合は想像をはるかに超えていました。
正直なところ、「これ本当の話なのか?」と疑うぐらい驚きました。大成功した後だからこそ、そのようなストーリーに都合したのではないか、ぐらい。しかし、エピソードの一つひとつに整合性があり、ミッションやビジョンに対して愚直にストイックに向き合ってきたことがいやでも伝わります。ぶれない判断を積み重ねた結果、ここまで大きなチェーンに成長したことが理解できます。
学生からビジネスマンまで、朝の読書時間にぜひおすすめしたい1冊です。読んだ後には、昼にサイゼリヤでミラノ風ドリアを食べたくなるでしょう。私も次に紹介する予定のもう1冊と連続して読んでしまったため、サイゼリヤに行きたくて仕方がありません。しかし、なかなかタイミングが合わず、まだ実現できていません。次に行けた際には、食べきれないくらい注文していろいろ試したいという思いでいっぱいです。

『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?』
正垣 泰彦 (著)
コメント