読書メモ:リスキリング大全(audible)

オーディオブック読書メモ

振り返ってみると、これまでに「リスキリング」や「学び直し」をテーマにした本を結構手にしてきたなと思います。意識して選んでいたわけでも、特別勉強しようと思っていたわけでもないのですが、「聴き放題」の中にこうしたテーマやそれっぽい言葉が入っていると、なんだか心の奥にある危機感やコンプレックスが刺激されてしまうんです。気づいたらついポチッとしてしまう、そんな感じですね。

で、買った本を読んでみると、危機感がさらに強くなる一方で、「勉強したぞ!」という達成感もちゃっかり感じてしまう。けれども、頭の中はあまり変わらないし、実際の学習をしたわけではない。危機感だけが潜在意識に残ったまま、次の「リスキリング本」との出会いを待っている……そんなサイクルが続いているだけのような気もします。

自虐的な出だしは、まあ私のいつもパターンでもあるのですが、こうしてアンテナを張り続けているのも、ある意味では仕事の一部といえないこともないんですよね。人がどんな悩みを抱えているのか、何を考えどこを目指しているのかを知ろうとする。ガツガツ調べなくてもアンテナを立てておくぐらいのことは大事なことかと思います。だから、しっかりしたスキルを身につけないまでも「危機感を持っておいたほうがいい」ぐらいはいえるかもなあ、と思います。

とはいえ、こうした危機感が、本書で提唱されている「稼げるキャリアを生むための目的を持ったリスキリング」かといわれると、それは全くの別物です。本気で自分を変革する意識的な学びというのは、私のような性格からすると本当にまぶしいくらい崇高で、キラキラして見えるんです。できないんですよ、本当に。

プライスウォーターハウスコンサルタントで新規事業戦略立案、人材開発戦略・実行支援などのプロジェクトをリードし、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダー、IBM研修部門リーダーをつとめてきた著者のキャリアと実績からくるのだと思いますが、本書の内容は非常に体系的でロジカルでありまた仕事に温度感を持ったままにまとめられています。そして、実際にリスキリングを行った様々な職業の人たちの事例やインタビューも紹介されていて、それがまた私の危機感やコンプレックスを刺激してくるんですよね〜。気づけば出版業界の「お得意様」として、この沼にはまり込んでいる状態です。いうなれば、カモです。

ところで、「定年までにいくら貯めれば安心か」という問いに答えがないのと同じで、「どんな知識をどれだけ身につければ一生安心か」という問いにも答えはありません。お金も額面は変わらなくても価値が変わるし、使えば減る。知識も同じで、旬のものやこれからのものがあり、同じ学習時間でも価値は変わっていくでしょう。知識も、忘れますからね!

結局、一番大事なのは長期的な見通しを仮説・シナリオとして持っておいて、それに基づいて「自分が何をすべきか」を判断する力ではないかなと思います。そのためにも、頭の中のどこかに危機感だけは育て続けておかないといけないな、と思う今日この頃です。

『リスキリング大全―キャリアの選択肢が増えて人生の可能性が広がる』
著:清水 久三子 東洋経済新報社

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