読書メモ:ただの人にならない 「定年の壁」のこわしかた(マガジンハウス新書)(audible)

オーディオブック読書メモ

何を隠そう、私は団塊ジュニアとカテゴライズされる世代でございます。タメ年がやたらと多い学年なんです。私の子供たちの学年の約2倍生まれていたわけです。それが原因かどうかはわかりませんが、同調圧力も今より強かったように思います。圧力とまではいかなくても、空気。みんな学校で同じ授業を受けた後、仲よく帰って同じテレビを見て、翌日そのテレビの感想を共有してさらに同じ価値観に自然すりあっていたように思います。子供のことですし、当時は意識せずただただ心の赴くままに生きてまいりました。

歳をとって上の世代と下の世代と私たち、なんかも意識できるようになってきましたが、最近マツコ・デラックスのトーク番組などを見ていると「私たちの世代なんてみんなそうよ」みたいなコメントが頻発するんですが、これがいちいち「一緒だ!」と刺さるのです。思わず鏡をのぞき込んで「僕がマツコなのか?」と確認してしまうほど、あの頃一緒に同じものを見聞きした価値観のブレのなさに驚いたわけなんですね。それはマツコさんが世代を流れで見ることができて、差分のようなものを気づき、言語化する能力に長けているということだと思うのですが。ちなみにマツコ・デラックスは一つ下の学年なんですけどね。キャリアも見た目も共通点が一つもないぐらい違うマツコさんの、モノに対するリアクションがシンクロするというのは大袈裟にいえば脳が揺さぶられるような新鮮な感覚でした。

ひたすらに本書と関係ない話を続けているわけですけれども、そんな私たちも50歳も半ばに差し掛かる年齢になってきたわけでして、それはつまり多くの会社の制度上では定年が間近に迫ってきたという話なのです。団塊ジュニアは1971から73年までと定義されているようですが、200万人ぐらいずつ生まれた3学年が、毎年段階的に消失するわけです。これは、私たち労働者側としても会社組織的にもなかなかパンチの効いた出来事かと思います。

ようやく本書にかかってくるのですが、まずタイトルがとっても趣深い。「ただの人」そう、私のような家業もない、資格もない、仕事に直結するコネもない人間は定年退職した瞬間「ただのおじさん」になるのです。まあ、今もただのおじさんですが、もう少し正確にいうと収入とやることのないおじさんになるわけです。それは定年の壁という厳然と存在する物体が立ちはだかっており、立派なキャリアや地位や収入があったとしても揺るがないものなのです。

本書は、著者田中さんが自身もコンサル会社から公認会計士として独立し作家になった経験から、仕事や時間、そして収入を自分でコントロールする術を指南するという内容です。定年で収入がなくなることなんて「わかってるんだから準備しようよ」「今から準備しておけば大丈夫だよ」と先輩としてアドバイスしてくれるのです。これが本当に親身で丁寧でわかりやすく明快で、実際自分だったらどうすればいいかなと悲壮感なく考え始められるようになっているのです。

さあ、私はどうしようかな?取り急ぎは、たとえばこのブログがそうであるように、皆さんに近況をお伝えできるような環境だけは作っておこうかと思っています。また、自分の興味領域と問題意識のようなことに関しても、独り言のように発信していくつもりでございます。それで定年の壁を壊すことができるのかと問われるといささか心許ないというか全然わかりません。

ただの人にならない 「定年の壁」のこわしかた(マガジンハウス新書)
著:田中靖浩 マガジンハウス

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