イギリスの小説家、劇作家、随筆家、評論家などマルチな活躍をした方で、小説家としても著名で多作な国民的小説家。私は作品を読んだことはないのですが、今アマゾン等で見ると現在では自己啓発書の方が手に入るようですね。何しろ100年も前に書かれた書籍なので、残っていることはすなわち名作・古典の証なのですが。本書もザ・自己啓発書という内容です。目次を見ても、素朴感はありますが古めかしさは感じませんね。
訳者序文
第1章 この考え方が1日1日に奇跡をもたらす
第2章 もっと知的好奇心に満ちた生活をつくろう!
第3章 1日24時間の枠を最大限に生かすには?
第4章 自分の精神・肉体を養うための「内なる1日」
第5章 週3回の夜90分が、あなたの心を豊かにする
第6章 「情熱と活気に満ちた1週間」をつくる秘訣
第7章 思考を集中するひとときをもつ
第8章 「内省的な気分」を大切にする
第9章 「知的エネルギー」はどうやって生まれてくるのか
第10章 「原因と結果の法則」を頭に入れる
第11章 読書好きなあなたへ ――人生に大きな「利息」を生むアドバイス
第12章 財布にはまっさらな24時間がぎっしりと詰まっている
訳者解説
実際読んでも、当時の典型的なイギリスの生活スタイルの描写には確かに時代を感じることがあります。逆にその頃から今でも通じる知恵、ともいえるでしょう。目次の通り、自己啓発書を普段読んでいる人でしたら全く新鮮味はない、どこかで聞いたことがあるフレーズしかないですよね。でも、本文の言い回しが、やはりいいんですよね。どこまでも無駄がなくロジカルに構築され、的確な例えが練り込まれた最近のノウハウ書に比べていい感じで饒舌なのです。たとえ話もありありと。そして主張もはっきりと、かつ拡張高く。通勤時に新聞は読むべき、読まない方がいい?などもねちっこく「ですよね」「ではないだろうか」と詰めてきます。翻訳、渡部昇一先生ですね。とても雰囲気あって読み物として楽しいです。おまけにいうと、解説もがっつりボリュームを割いていて、著者について、時代背景についてもかなり詳しくなれます。

アーノルド・ベネット (著) 渡部 昇一 (著) 三笠書房
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