今週のデジタルブックトピックス:2024/09/15

オーディオブック読書メモ

デジタルブックトピックス;

オーディオブック・ポッドキャスト・音声関係

Amazonのオーディオブックサービス「Audible」でナレーターが作成したAI音声レプリカを提供する試みがスタート(GIGAZINE)

さあ、USはユーザー向けオーディオブック制作販売ツールACXで実験が次々に繰り広げられていますよ。米国のaudibleは基本的に合成音声は認められておらず、KDP(Kindle direct publishing)作品だけが解禁されていました。でも普及が加速しているのは少し緩くなったのでしょうか。いずれにしても日本とは状況が違いますね。日本の状況についてはこのブログでもレポートしました。さらに今回は、ナレーターの声を学習された合成音声も提供できるようになったとのリリースです。狭い、限られたところで実験が進められているという感じでしょうか。


Audible、オーディオブック読み上げに声優・ナレーターの「音声クローン」を採用(gadget gate)

関連記事を続けます。自分の声を学習可としたナレーターは、学習させたAI音声がナレーターとして使われた場合に幾らかの報酬を受けることができます。自分の声のクローンが自分の代わりに稼いでくれると考えると、ナレーターにとってはポジティブなニュースに聞こえます。自分が風邪をひいて喉の調子が悪い時でも、クローンAI音声は安定的にナレーションをしてくれることでしょう。でも、記事でも指摘しているように学習の必要がなくなったらどうなるのか、ということもありますし、肝心の料率もわかりませんね。手放しにポジティブな情報かこれだけで判断するのは危険かもしれません。


CoeFontのAI音声がアニメ動画生成AIツール「Kn1ght」の動画ツール内で利用可能に(Audiostart News)

アニメ動画を作成するツールに、AI合成音声作成エンジンが搭載されたということですね。脚本エンジンでシナリオを作ったらそして誰もいなくなった状態!?ってこと!?AIと人の境界線に関して、動画編集あたりは一つのブレークスルーで結構変わっちゃいそうな気もしますね。


オーストラリアのデジタル音声広告市場が急成長。24年度の広告支出が前年比23.6%増加(Audio Marketing Insights)

podcastが牽引とのこと。既存ラジオとの移り変わりみたいな話なのか、業界的に純増なのか?


聞け、聞け!次のダンジョンズ&ドラゴンズのオーディオアドベンチャーはここから始まります/Hear ye, hear ye! Your next Dungeons & Dragons audio adventure begins here(audible)

D&Dをガチで遊んだことはないですよ。世代的には私より上ではないかなあ。でもその頃のロールプレイングブックが好きで。私は挿画を眺めるのが好きでそこから世界観に入っていった感じです。記事のジャンルがここでいいのかわかりませんが、勇者のタイプ別おすすめとはすごい切り口ですねえ。


電子書籍・コミック・リーダー端末・アプリ

「コミックシーモア」23年度売上高、過去最高の812億円に(新文化)

先週に続いてシーモア絡みの記事が続きます。ポジティブなリリースがあるということだけでほっとしてしまう自分がいたりしますが。

11期連続の増収増益となった。

おめでとうございます。


CMでお馴染みコミックシーモア、昨年度は売上813億円…韓国ピッコマは1000億円超、4年で7倍の急成長も(オタク総研)

この見出しはなんという・・最後の「も」はどのような含みなのでしょうか。さて、先週からどしどし出ているシーモア関連の記事です。ピッコマの近年の成長はまさに「爆あがり」という表現が相応しいものですが、そこまででないとしても日本の市場も右肩上がりではあります。それがどこまで行くのか、そしてそれを牽引するのはどこか。そういう意味では顧客の「本棚」の数を持っている老舗のシーモアは有利なんだろうなとは思います。


Eブックリーダーをすっきりと保つには/Tips for keeping your E-Reader Clutter-Free(Good E Reader)

専用の読書端末を見かけることは日本では少ないですが、薄さと画面のサイズはいいなあ、と思います。私は電子書籍ではスマホで漫画を読みますが、大きめのスマホではあるんですけどやはり字が小さくて見づらい。専用端末が理想的ですがもう一台持ち歩くのもねえ。私は漫画だけでそこまでのボリュームもないのですが、ヘビーユーザーにとってのTIPSです。無料のをつい「いつか読む」と入れちゃうのは、あるあるですね。


マンガ&電子書籍アプリ、1日の利用平均は10分未満…500以上が乱立する大戦国時代、カオスマップが公開(オタク総研)

マンガ・電子書籍アプリの数は約506個にものぽるといい、全アプリに占める割合は約1.4%となっている。また、これらのアプリの1日あたりの平均起動回数は2.5回、すべて合算しての利用時間はわずか10分となった。

506種類!私はいくつ知っているでしょう?雑誌単位・レーベル単位のものもあるでしょうし、学術的なもの、専門的なもの、あるいはコミケみたいな市場で細分化していたりもするのかもしれませんが、驚きました。平均起動回数は多いんだなという印象。ルーチンになっているんですかね。私は月に数回という感じですが(オーディオブックは1日1.5回ぐらいか)。でもそうか、オーディオだと乗り換えも駅ついてから会社までもイヤホンつけっぱなしですが、漫画アプリは一旦中断しますから、それで回数多く、時間は少なめなのかもしれませんね。こういうデータはあまり出ていなかったので面白いですね。


広告代理店の出版社電子書籍直販システム「HONDANA電子書籍」サービス提供開始(とうこう・あい)

出版専業広告代理店としての、コネクションを活かして出版社用のサイトDB・モジュールを開発して(HONDANA)制作を請け負ったり、その関連で立ち読みサービスの提供もしたり、とメニューを広げてきたとうこう・あい。今回はその延長で立ち読みだけではなく電子書籍のECシステムも提供するとのこと。これまでもサービスとしてはありましたが正式にメニュー化した、という感じでしょうか。


富士山マガジンサービス、「TRC-DLマガジン 法人プラン」の提供開始(株式会社富士山マガジンサービス)

電子図書館、というか図書館での電子書籍貸出には雑誌もあったんですね。書籍に気をとられて認識していませんでした。図書館流通センター(TRC)のシステムに富士山マガジンサービスが乗っかって運用しているということですね。今回はその仕組みを使って、法人版を提供するとのこと。これって、「dマガジン for Biz」の競合になるということなんですかね。dマガジンは原稿や美容院みたいなイメージ、今回のTRC-DLマガジンは企業図書館ユースみたいな先入観が勝手にあるのですがどうなんでしょ。


その他のトピックス:

AIと本の著作権侵害の核心:新たな時代/The Cruxes of AI and Book Piracy: A New Era(Good E Reader)

ブツとしての海賊版から、違法デジタル配信、そしてこれからはAi学習の素材として著作権侵害の形態も変わり、みつかりづらくなってきているわけですね。。


学びの可能性を広げる山川のライセンス事業が本格展開!(山川出版社)

電子辞書や学習用アプリなどを中心にライセンス提供していた学習参考書や辞典等のデジタルデータを教育業界、出版業界以外にも幅広い分野へライセンス提供するため、サービスサイトを2024年9月2日(月)に開設いたしました。

生成AIに食われないよう、と知財を守る話が多い中で、攻めに自社コンテンツのライセンスを広く募る、という話です。どのようなところが手を挙げるか、脳内会議をしてみましたが斬新なやつが出てこなくて、自分の想像力不足にがっかりです。


非営利団体Internet Archive、大手出版社に敗れる。著作権侵害とフェアユースのバランスとは(WIRED)

Internet Archiveは、日本でいうところのどこに該当するのでしょう。コロナ禍での対応とはいえ、これまでやっていなかった電子書籍の貸出を開始というのは出版社にとっては驚きだったとは思います。自分たちのビジネスも危機にさらされているタイミングでしたしね。この件は、業界団体などではなく、大手出版社が裁判を起こしたわけですね。ここは、お国ですねえ。


読者はAIだけ」ライターの新たな仕事と”2026年問題”とは(新聞紙学的)

さて、最後にご紹介するのはなんともいえない、この記事です。いや本当に、「えっ本当に?」っていう内容です。なんかAI社会を風刺したSF寓話なんじゃないか、とさえ思えてしまいますが。ChatGPTなどの超達者な作文力には誰もが驚いたことと思いますが、ライターの方々は頼もしさよりも恐怖を覚えたのではないでしょうか。実際そのような内容の記事も誰が書いたのかたくさん出回りましたね。あなたの体はあなたの食べたものでできている、というようなタイトルの本もありましたが、書くのが商売の人間が、その商売を脅かすかもしれないAIのために報酬をもらってせっせと書いているという不思議なエコシステム。ダメだ、あまりに哲学的に過ぎて私はコメントできまへん。

読書メモ:

『大量絶滅はなぜ起きるのか』尾上 哲治 (著) 講談社ブルーバックス

『四つ話のクローバー』 水野敬也 文響社

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