読書メモ:大量絶滅はなぜ起きるのか

オーディオブック読書メモ

2億150万年前(三畳紀末期)の地球で、陸も海も関係なく、80%もの生物種が一斉に消えた。世界中の地層に記録されたその大事件を「三畳紀末大量絶滅」という。このとき、いったい何が起きたのか? 気鋭の地質学者が、まったく新しい「絶滅論」を提唱する。

いつものように全く深い理由もなく、新着情報をブラウズしていてインパクトのあるタイトルにぽちっとしてしまった次第でございます。大量絶滅が何かとかも気にせずに。最近でいうとミツバチの話とかあったし、逆は空飛ぶイナゴの大量発生かな、ぐらいの勝手なイメージで。

そうしたら冒頭に引用した本書の内容紹介の通りで、2億150万年前に当時地球上にいた生物種の80%が同時に絶滅したのだそうです。では、なぜ起きたのかのでしょうか。それを教えてくれるのかと思いますよね。それが普通の反応ではないでしょうか。講談社ブルーバックスってそういうサイエンス教養のシリーズではないですか。最後に明かされる大量絶滅に至った謎に向かって、当時の地球の様子や生物の状況が解説され、生物が小型化していたという伏線(伏線?)も提示されます。

さあ、ここから結論に一直線、かと思いきやそうはいきませんでした。世界各地の地層から仮説を導いていくわけですが、一つの証拠で「これだ!」と証明できるようなものではなく、事件の謎解きや将棋の先読みのように因果関係を推測して仮説を強めていくような展開となります。

地質学というのは、この地層がどれぐらい前のものかわかる人、という大変失礼なレベルの認識しか持っていなかった私ですが、地面の階層を文字通り深掘りすることによって気の遠くなるような昔にグローバルに起きた事象の原因を解き明かすことができる(かもしれない)という事実にまずはグッときました。まさに古代への情熱ではないですか。フィールドワークのエピソードや学者同士の交流含め、地質学とは何かというところについても面白く読める一冊だと思います。言葉が難しいのでオーディオブックで読む時には目次や関連記事を少し読んでおくと漢字の変換などスムーズになるかと思います。

『大量絶滅はなぜ起きるのか 生命を脅かす地球の異変』尾上 哲治 (著) 講談社ブルーバックス

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