商品名にその文字列が入っていると、ピクッと反応してちょっと半身に構えてしまう、うーん、これはどうしようかなと立ち止まってしまう言葉があります。たとえばスーパーで食品売り場をながめていて「完全メシ」とか「これ絶対うまいやつ」みたいな言葉を見つけるとざわっとするのです。これは職業病のようなものでして、その昔広告に携わっていた時のことなのですが、商品の広告を制作して媒体の審査を受けるときに、「絶対」「完全」「ナンバーワン」みたいな言葉は一発NGか、もしくはエビデンスを示せといわれるものなのです。ネット広告ではそもそのその言葉が含まれていると門前払いされることも多いです。キャッチコピーや内容紹介のような文言の中でしたらもう少し柔らかい言葉に修正して再審査を受けることができますが、こと商品名となると修正することはできずギブアップということになります。商品ジャンルや媒体によっても違うとは思いますし、実際CMをやっている商品でもあるのでクリアできているのでしょうが、商品名が断定ワードであるのを見かけると「やば、大丈夫か!」と我が事のようにビビってしまうのでした。というと職務意識が高いように伝わるかもしれないですけど、紙媒体は掲載日ありきの進行なので恐怖だったんですよね。恐怖が染みついているのです。
いきなり脱線してしまいましたが、個人的に引っかかってしまう言葉というのは誰にもあるでしょう。私は書籍に関しては「頭がいい人」は立ち止まりワードです。頭がいい人に憧れている人に買わせようという惹句なのか、頭がいい人コンプレックスを持っている人なのか自分は、と自意識過剰な免疫構造が稼働してしまうのです。転じて著者にまで飛び火してしまい名刺がわり、自身の分身でもある著書のタイトルに「頭のいい人」とつけてしまうことでの居心地の悪さはないのであろうか、出版社がつけたタイトルだからと割り切るのだろうか、などと要らぬ心配までしてしまうのです。たとえば学歴とか、投資の本であれば資産総額や儲けたお金とかはファクトなのでスッと入るのですが、「頭がいい」はその点で「はて、これはどのような意味づけなのだろうか」と引っかかってしまうのですね。
脱線したまま進んでしまいましたが、本書はビジネス書著者であり講演やセミナーも多数登壇し経営者として人材育成に携わる著者がそのマルチな活躍の源泉を紐解く内容です。私の仕事は○○だから、上司にこういわれたから、私はAB型だから、私は長男だから、などなど既成概念にとらわれがち、縛られがちな方にはぜひ一読をおすすめしたい一冊です。仕事術的なところも自身の経験に基づき書かれてはいますが、肝心なのは自分を家庭でも、仕事でも一つの役割としての要素に決めつけずに、複数のレイヤーによって構成されるというように分解して考えるべきという発想の重要さについて説かれた内容です。Facebookのメタではありません。自分を複数の要素に「タグづけする」という表現の方が通りがいいかもしれませんね。メタタグの「メタ」です。

『メタ思考~「頭のいい人」の思考法を身につける』
澤 円 (著) 大和書房
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