なぜこの本がおすすめに掲載されたのかはわかりませんが、なんだか見えるところに出てきたのだと思います。私はオーディオブックは深く考えずにポンポンカートに入れてしまうタチで、こちらもご縁であるとポチりとしました。
みなみかわというアンダーグラウンド芸人?(当時)がシステマという謎の呼吸法を使って、殴られても蹴られても痛みを一瞬で吸収するというバラエティ番組のひと幕が切り取られた動画を見たことがあります。リアクション芸というバラエティの路線は先人たちが培ってきた歴史が脈々とあるわけですが、そのバリエーションとして「痛くない特技(技術)がある」→「でも痛い」というひとひねりを加えており、なるほどこういう面白増幅ステップがあるんだなあ、よくこんなこと考えるなあ、と感心しました。私はわりとバラエティを見てこのようなお笑い要素の種みたいなものを見つけるのが好きです。フレームワークみたいに名前をつけたりします。
ですのでシステマというのは架空のネタだと思っていたのです。思い込んでいたのです。そこに、システマ・ブリージングというタイトルの本が視界に入ってきたので「え?」ってなったのです。読み始めると確かに旧ソ連軍で実際に使われていた格闘技の名称で、その核となるのは呼吸法とのことでした。やはりあれはそれだったのか。間違いないようです。
ただこのシステマ、本書を読む限りでは格闘技という呼称を表に出すのはあまり相応しくないというか勿体ないように思いました。もちろん戦う技術を指南する本ではないから、という理由もあるでしょうが呼吸法を前面に出した自己啓発書、例えていうなら「ヨガの心」みたいな内容ともいえます。現代人に必要な心得という形でアレンジしています。まずは危機回避に関して。日常生活において、自然災害や事故のような危機的状況に際してパニックに陥ったとき。そこまでいかなくても緊張した時、恐怖を感じた時、頭が真っ白になった時など、システマの呼吸を使って平常心を取り戻す方法が解説されています。呼吸のやり方自体はあっけないほどシンプルですが、「このような時、こうするためにこのような呼吸をする」という目的と手段を繰り返し強調しているところもロジカルです。戦いを避ける平和理念みたいな話にも後半なってきて、調子は狂いますが日本の「道」などにも通じるものを感じてしまいます。免疫力アップに鼻呼吸といいますが、鼻呼吸のさらなるご利益としてもしっかり認識しておきたいと思います。痛みの和らぎに対してはよくわかりませんが、今みなみかわさんはテレビでよく見かける売れっ子さんですね。呼吸がよかったのでしょうか。

「ストレス、パニックを消す!最強の呼吸法 システマ・ブリージング」
北川 貴英 (著) マガジンハウス
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