読書メモ:はじめての人類学: 講談社現代新書

オーディオブック読書メモ

 どうにも気に入ってしまった現代新書の人文ラインナップ。思えば私、昔々の話にはなるが大学でも前期の教養課程の授業選びはワクワクして迷ったものでした。文化人類学とか社会学とか哲学とか宗教学とか、そういう系の文化系科目は勉強として、というよりは「今週のお話」を聞くような姿勢で受講していたと思います。専門的に極めようという気はあまりありません。なんのコンプレックスなのかも分かりませんが難しくて知的なテーマに取り組むオレかっこいい、みたいな感じだったでしょう。大いに恥ずかしいですが、あの頃はみんな相応に恥ずかしかった、と巻き込んでおきたいと思います。今の若い人たちをみていると、その完成度の高さというかそつなさというか、要するに恥ずかしくないたたずまいに驚くこと多し、です。本当に?AIじゃないの?と突っ込みたくなるほどできあがっている人がいますよね。

 世代の話もそうですが、エスニシティ由来の違いや解釈は面白みの多いジャンルだと思います。それを極端にエッジが効いたところにスポットライトを当てたのがクレイジージャーニーみたいなものだと思いますが、びっくりする風習とかの点ではなくて、考え方とか価値観が最初からあったわけではなく必ず経緯とそれに至る理由があるわけで、そんなの面白いに決まっていてゴシップ記事とか炎上案件と同じような面白がり方で聞いていたわけです。今では当たり前と周知になっていることを、それが知らなかった頃の人のマインドで新鮮に学ぶのはなかなか難しいですよね。そういう意味では人類学の祖たちがどういう問題意識で現場に分け入りあるいは分け入れずに、何を求めてアプローチしていったかにも光を当てた本書は、そのいち学問のフロンティアの人物そのものにも同時にフォーカスする事になり、これまた楽しい読み物になっている。いわゆる学問そのものに興味があるわけではなくエンタメ的に消化するにはちょうどいいです。

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はじめての人類学: 講談社現代新書
奥野 克巳 (著) 講談社現代新書

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