読書メモ:今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる

オーディオブック読書メモ

前のエントリで『ショーペンハウアー』の本をご紹介しましたが、今回も講談社現代新書の同じシリーズです。類書を推薦してくれますので、ポチポチと入れてしまいますね。でもこの入門書としての間口の広さと、学び直し未満の志だけどアンチョコみたいな学び方はしたくないという変なプライドも刺激しないちょうど良さが心地よいのです。導入が前回と同じになってしまうのですが、宮本常一の『忘れられた日本人』は間違いなく読んでいるのです。学生時代に受講した「文化人類学」でレポートの課題があったはずです。ゼミだったかもしれないけどあやふやです。いずれにしても読まなくてはいけない事情で読んだことは間違いないです。そして、やらされ仕事がつらいように読まされ読書は苦痛なのがデフォルトなものですが、本書は滅法面白かった。そして、このポンコツ頭の記憶は「面白かった」ということしか覚えていません。さらに恐ろしいことに、本書を聴いても「ああ、確かにこんな内容だったな」と感じるポイントがなく、私の記憶はハードウェア的に破壊されていたようです。我ながらなかなかですね。

というわけで新鮮な感覚でオーディオブックを聞いたわけです。なぜに民俗学という学問に関わることになったのか。そしてアカデミックな方向性はどうなのか、そもそも何に向かって対話を重ねていったのか、言葉を集めていくテクニック、そして宮本氏本人の思想はどうだったのか、などなどが解説され作品をより立体的に捉えられるようになっています。そういう意味では、「クレイジージャーニー」を観ている感覚に近いものを感じますね。普段私たちが触れることがない場所にずんずん入っていってそこの長老などに会い話を聞き出す。共同体の長だけでなく浮浪者など「主役じゃない人」にも聞いていく。結果として読み物としては貴重で面白いということはあるんですが、そもそもなんでそんな方向にアプローチしたのか、このような補助線を引いてもらえると消化しやすいです。

そして本書をぽちっとしたおかげで、30年以上前に読んだはずの『忘れられた日本人』もオーディオブック化されていることを知ったのです。早速こちらもライブラリに入れました。今聴きたいものが大渋滞しているので、少し先になるでしょうが楽しみです。書籍の電子書籍化は基本データの変換ですが、このような地名や昔の言い回し、固有名詞が多い本の朗読は大変でしょうね。耳にちゃんと入っていくかもちょっと不安ですが。。

『今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる』 (講談社現代新書)  畑中 章宏 (著)

コメント

タイトルとURLをコピーしました