橘玲さんの書籍はなんとなく今まで読んでいなかった。特段の理由があったわけではないのですが、多分、最初(のころ、だと思いますが)に売れた『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の印象で、お金の自己啓発の人なんだと認識して、なんとなくスルーしていたのではないか。結局、「黄金の羽根〜』はまだ読んでいないのですが、今更ながらですが読みたくなりました。それぐらい刺激的な内容でした。目次の一部を見るだけでも面白い。
PARTⅡ バカと無知
5バカは自分がバカであることに気づいていない/6「知らないことを知らない」という二重の呪い
目次より
7民主的な社会がうまくいかない不穏な理由/8バカに引きずられるのを避けるには?
9バカと利口が熟議するという悲劇/10過剰敬語「よろしかったでしょうか?」の秘密
11日本人の3人に1人は日本語が読めない/12投票率は低ければ低いほどいい
13バカでも賢くなれるエンハンスメント2・0の到来
多分かつての私は、バカとかの刺激ワードを散りばめてめったぎりする芸風の作家だと認識して、もうそういうのお腹いっぱいだからと向き合わず避けていたように思います。チャラ系のノリのいいカバーだったのもあるんだろうな。第一印象って大きいです。
今オーディオブック化しているのを発見して読んでみたら、チャラ系どころかエビデンスがかっちり、ロジックも非常に明快で、かつ思ってもみなかったようなまさに「言ってはいけないんじゃないか」と思われるような結論。上記の目次の項目みたいなことが毒舌ノリで書かれているのではなく、学術書のような毅然としたアプローチで書かれているのですよ。
さらに、本書に関しては何食わぬ顔で読んでいると、お前もバカで無知だろうとナイフを突きつけてくる。それは単純に私に心当たりがあるからなのですが、ドキッとするように迫ってきました。バカは隠せないのを覚悟できる一冊です。

『バカと無知: 人間、この不都合な生きもの』橘 玲 (著)
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